「電話の進化に一石を投じたかった」――通信機器開発のエイビット(東京都八王子市)がワイヤレスジャパンで展示していたのは、ペアになった端末同士だけで通話できるPHS「ペアフォン」の試作機だ。親子のホットラインや、高齢者向け端末として使ってもらう考えだ。
端末中央の丸い通話ボタンを押せば、対になった端末に電話がかかる仕組み。通話ボタンと終話ボタン、電源ボタン、音量調整ボタン、スピーカーとマイクのみを搭載し、液晶画面やダイヤルボタンは付いていない。通話は3分間まで。
サイズは45(幅)×20(厚さ)×73(高さ)ミリと、子どもの手にもすっぽり収まる大きさだ。防犯ブザーも内蔵し、下から出ているひもを引けばブザー音が鳴る。単4形乾電池×2で駆動する。
ペアの端末にしかかからないため、知らない人から電話がかかってくる恐れもなく「安心、安全に電話でやりとりできる」(担当者)としている。
子どもと親や、高齢者と介護ヘルパーといった組み合わせで使ってもらうことを考えている。医療機関で診療を待っている患者の呼び出しに利用したり、テーマパークで迷子対策として親子に配布することも検討している。
「携帯は機能がいろいろ増えてきたが、純粋なコミュニケーションツールに立ち戻らせたい、原点回帰したい」(檜山竹生代表)と考えたのが開発のきっかけだ。
四角いボディにボタンやスピーカーが付いているだけのデザインは、「子どもからは、かっこ悪いと言われることもあるので、子ども用にはかわいいデザインの端末を、おじいさんやおばあさんにはよりシンプルで使いやすい端末を提供したい」としている。
同社が培ってきた通信機器や通信用半導体の技術を応用し、数カ月で開発した。今後、販路の確保や、サポートの仕組み作りを行っていく。ウィルコムのPHS網を利用するが、発売時期や価格は未定。
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