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「ホームオーディオの復活」 ビクター・ケンウッドの統合成果「RYOMA」「M-LinX」

» 2009年10月01日 07時00分 公開
[ITmedia]
photo 新製品を発表する前田常務。右手に持つのはM-LinXチューナーボックス

 日本ビクターとケンウッドの持ち株会社、JVC・ケンウッド・ホールディングスは9月30日、経営統合の成果となる新しい製品とサービスを発表した。Blu-ray Disc(BD)レコーダーとデジタルアンプ、FM/AMラジオチューナーを一体化した「RYOMA」と、ネット経由でラジオ放送が楽しめる「M-LinX」で、それぞれ来年春にリリースする計画だ。

 RYOMAは、BDドライブとHDD、デジタルチューナー、FM/AMチューナー、デジタルアンプを1台に集約。リビングにオーディオ機器を置くスペースが減っているのに対応し、「観る」「録る」「聴く」を1台で楽しめるというオールインワン型のホームオーディオ機器だ。デジタルアンプにはビクターとケンウッドの高音質技術が注ぎ込まれているほか、映像と音楽を素早く選べるという直感的なユーザーインタフェースを新開発した。価格は未定。

photo RYOMAの試作品

 新製品のポイントの1つはFM/AMラジオ対応。ビルが増え続ける都市圏ではFMがよく受信できない区域も多く、家庭にラジオやチューナーがないというケースも増えてきた。RYOMAは発売と同時スタート予定の新サービス、M-LinXに対応することで、ネット経由でラジオ放送を快適に楽しめるという。

photo M-LinX画面。コンテンツ制作はFM TOKYOが協力した

 M-LinXは、対応機器がネット経由で配信サーバに接続し、ノイズのないクリアなラジオ放送を楽しめるようにするサービス。ユーザーの放送サービス地域を特定する技術を独自開発し、その地域のFM/AMラジオ放送と同じ音声をネット経由で受信できるという。音声に加えて映像などの付加データも受信できる技術仕様を開発中で、放送に関連した動画や文字ニュース、広告なども配信できるようにする。

 今後、サービス開始に向けて放送局やサービスプロバイダー、広告主などと協力して実証実験を行う計画。対応機器としてRYOMAに加え、テレビなどにアドオンできる手のひらサイズの小型製品を試作した。テレビなどに組み込みたい他メーカーに対し、モジュールの外販やライセンス提供も進めていく。

 ビクターとケンウッドの経営統合後、研究開発機能は持ち株会社に集約し、ビクターの映像技術、ケンウッドのオーディオ技術を融合する新製品の開発を進めてきた。その第1弾となるRYOMAとM-LinXについて、ソニー時代にネットワーク型AV機器に取り組み、新会社に転じた前田悟常務・新事業開発センター長は「ホームオーディオライフの復活」だと説明する。コモディティー化と価格競争に陥った「ハード売り切りビジネス」からの脱却を目指し、新しいライフスタイルを提案する製品・サービスの投入で成長領域を開拓していく狙いだ。

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