情報通信研究機構(NICT)は「CEATEC JAPAN 2009」(千葉・幕張メッセ、10月10日まで)で、立体映像と感触、音で遺物をリアルに再現・体感させる「多感覚インタラクション装置」や、ディスプレイに映った絵にタッチすると裸眼立体ディスプレイで立体映像を見られる装置を参考出展していた。
「多感覚インタラクションシステム」は、視覚や聴覚、触覚など複数の感覚情報を統合して物をバーチャルに再現するシステム。立体映像ディスプレイや、物に触れた際の接触音などを再生する音響システム、ペンを使って触覚を再現する装置などで構成する。
CEATECでは、同システムを利用して高松塚古墳から出土した「海獣葡萄境」の再現デモを行っている。3Dメガネをかけ、棒状に伸びたペン型アームをつかんで立体映像を触ると、感触や重さ、触った際に起こる音を体験できる。
ペン型アームは3つのモーターで制御。アームに位置センサーが付いており、アームの座標を元に、立体映像のどこを触っているかを判断する。モーターを使ってアームを押し返すフォースフィードバックで手に感触を伝え、接触音も事前に登録しておき、感触と同時に音も出るようにしている。
実際に記者も触ってみたところ、こまかい凹凸や文様のある銅鏡の感触が再現されており、立体映像をたたくたびにコンコンと金属にぶつかる音がする。さびた鏡面をなでるとざらざらとした感触がし、音もする。重みのデータも登録してあり、鏡を裏返そうとするとずしりとした重さを手元に感じる。
「いろいろな感覚を組み合わせると物を触る感覚がより、リアルになる。現在は、においの再現も研究している」(担当者)という。
手に持ちながら立体映像を楽しめるというキューブ型の裸眼3Dディスプレイ「gCubik+i」も展示されていた。ガラスケースの中に物が閉じ込められているかのように、立方体の6面でそれぞれ立体映像を表示。複数の人が、それぞれの角度に応じた立体映像を見ることができる。
立方体のそれぞれの面は、液晶ディスプレイとレンチキュラーレンズ板、タッチパネルで構成。300以上の視点画像を液晶ディスプレイに表示し、レンズ板の効果で、観察者の方向に対応した映像が見える。タッチパネルで画像を触って動かすこともできる。
「ネットショッピングのカタログとして使うことなどができるほか、いずれは好きなアーティストの映像を映して楽しむこともできるかもしれない」(担当者)という。好きなキャラクターを“箱入り娘”として愛でて楽しめる日も近いか。
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