ITmedia NEWS > 科学・テクノロジー >

次世代DVDプレーヤーは“シャコの目”から生まれる?

» 2009年10月26日 10時21分 公開
[ITmedia]

 次世代DVDプレーヤーの開発に、シャコが役に立つかもしれない――英ブリストル大学がこのような研究成果を発表した。

 同校によると、オーストラリアのグレートバリアリーフに生息するシャコは、12種類の色を知覚できる最も複雑な視覚システムを持っている。人間の目が認識できる色はわずか3種類(赤、青、緑)だ。さらにこのシャコは、さまざまな形の偏光(光波の振動の方向)を識別できるという。

 この優れた視覚能力は、シャコが光に敏感な特殊な視覚細胞を持っているためだ。この細胞は、DVDプレーヤーの光ピックアップなどに使われている4分の1波長板のような機能を持ち、シャコの目に光が入ってきたときに直線偏光を円偏光に(あるいはその逆に)変換できる。電子機器で使われている人工の4分の1波長板は、1種類の色に対して機能する傾向があるが、シャコの目は可視スペクトル全体でほぼ完ぺきに機能する。

 研究論文の主執筆者であるニコラス・ロバート博士は、シャコの目は人間がこれまでに作り出してきたあらゆるものを上回っており、「見事なまでにシンプル」としている。シャコの視覚細胞の特徴を人工的に再現することで、より優れた光学デバイスを開発できるかもしれないと同氏は述べている。

 この研究成果は10月25日のNature Photonicsに掲載された。

関連キーワード

研究者 | 論文 | イギリス


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.