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「ポラロイド」インスタントカメラ復活 「SX-70」復刻、プリンタ内蔵デジカメも

» 2009年12月03日 18時02分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 「ポラロイド」(Polaroid)ブランドのインスタントカメラやフィルムが来年、復活する。写真関連製品を世界展開するサミットグローバルグループがこのほど、Polaroidブランドのライセンスを獲得。日本法人を設立し、国内市場向けにフィルムやカメラを販売する。プリンタ内蔵デジタルカメラなど、デジタル製品も展開する。


画像 来年復活するフィルム「Polaroid 600」
画像 名機「SX-70」も復刻予定

画像 Polaroid ONE

 インスタントフィルムは、白黒を来年春以降、カラーを秋以降に発売する予定だ。インスタントカメラは、普及機「Polaroid 1000」を来年夏以降に発売するほか、1970年代に発売された名機「SX-70」の復刻版も来年中に発売予定。「Polaroid ONE」も復活させる。

 デジタル製品はこの年末から展開。製品紹介サイトを12月3日にオープンし、一部商品の予約受け付けを始めた。

 米ZINK Imagingの印刷技術を採用した「Polaroid PoGo」シリーズを展開。撮ってすぐプリントできるプリンタ内蔵コンパクトデジカメ「Polaroid TWO」(1万9800円)と、モバイルプリンター「Instant Mobile Printer」(9800円)をラインナップする。

 12Mピクセルのデジタルカメラ「t1235」(9800円)、1.3Mピクセルの小型DVカメラ「DV130」(5480円)、デジタルフォトフレーム「i1201」(1万9800円)など低価格なカメラ関連製品も展開する。


画像 プリンタ内蔵デジカメPolaroid TWOは米ZINK Imagingの印刷技術を採用。撮った写真をZINKペーパー(裏面はシール)にプリントできる
画像 モバイルプリンタ「Polaroid PoGo Instant Mobile Printer」もZINKの技術を採用している


画像 低価格なデジカメを展開
画像 5480円の小型DVカメラ「DV130」
画像 デジタルフォトフレーム「i1201」

 「インスタントの夢を復活させたい」――サミット・グローバル・ジャパンのジョヴァンニ・トマセーリCEOは意気込む。

 アナログ製品のターゲットは、子どものころポラロイドカメラに親しんだ30代後半以降だが、若者向けにも販売。警察の捜査証拠品撮影など画像の改ざんが許されない法人向けにも販売していく。デジタル製品は10代後半〜30代前半をターゲットにすえ、「ポラロイド」の知名度を生かして展開。家電量販店以外にも販売チャンネルを広げ、3年目にポラロイドブランド製品で国内120億円の年間売り上げを目指す。


画像 会場には歴代Polaroid機がずらり
画像 今後3年の売り上げ計画

ポラロイド、復活までの道のり

画像 俳優の黒沢年雄さん(左)は30年ほど前にポラロイドカメラを購入。「ポラロイドのクロちゃん」と呼ばれ、「女の子と仲良くなるのに役立った」とか。ギャルタレントの小森純さん(中)はモバイルプリンタが「簡単で便利」と感激。藤田志穂さん(右)は「ポラロイドカメラは結婚式などでよく使う」と話していた

 ポラロイド製品を販売してきた米Polaroidは、「カメラのデジタル化が進み、フィルム需要が減少した」などとし、2008年夏までにインスタントカメラとフィルムの生産を終了。昨年12月には米連邦破産法第11条(チャプター11)の適用を申請し、事実上経営破綻していた。

 この10月、サミットグローバルグループが、ポラロイドブランドのカメラ製品などを独占的に生産・販売できるライセンスを取得。ポラロイドのインスタントフィルム復活を目指すオランダのプロジェクト「THE IMPOSSIBLE PROJECT」とも連携し、インスタントフィルムの復活にも道筋を付けた。

 サミットグローバルグループは、米国や香港ではポラロイドブランドのデジタル製品を発売済み。11月には日本法人サミット・グローバル・ジャパンを設立し、日本市場に本格参入した。

 これまでポラロイド製品を国内展開してきた日本ポラロイドは、MBO(Management Buy Out)で米Polaroidから独立。来年1月1日付けで「フロントランナー」に改名する。Polaroidブランドのカメラなどの取り扱いはすでに終えている。

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