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Android「Honeycomb」はiPadの手強いライバルになるか

» 2011年02月01日 15時54分 公開
[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK

 Appleのスティーブ・ジョブズCEOが、10月の決算発表会見でAndroidタブレットを酷評し、iPadに太刀打ちできないと発言したことは有名だ(見方によっては、悪名高いとも言える)。

 同氏は電話会見を聞いていたアナリストとメディアに、競合タブレットメーカーが、自社のタブレットは小さすぎると気づいたときに「痛い教訓」を学ぶことになり、「7インチ(タブレット)の波に飛び乗った開発者と顧客を捨てる」ことになると語った。

 しかもこれは「口撃」の1つにすぎない。「これらの(ライバルの)戦略がどんなものか想像しがたい」とジョブズ氏は、アナリストから2011年にiPadに挑戦する競合タブレットについて聞かれて答えた。「Andriodは非常に分断化されており、日ごとに分断が進んでいると思う」

 だがGoogleの反撃が始まる。コードネームで「Honeycomb」と呼ばれるAndroid 3.0だ。同社はこのOSを、2月2日に本社でプレビューする予定だ。

 Honeycombは大きめのディスプレイを念頭に置いて設計されており、例えばタブレット向けに刷新されたバーチャルキーボードを盛り込み、画面の下部に新しいシステムバーを表示する。GoogleはWebブラウザも調整した。複数のWebウィンドウをタブで開くことができ、3Dグラフィックスもサポートする。

 だが、HoneycombとそれまでのバージョンのAndroidの最も重要な違いは、大きな画面で動作するアプリに向けて最適化されている点かもしれない。Google幹部は、前のバージョンの2.2はスマートフォンサイズの画面向けだと主張していた。それにもかかわらずさまざまなメーカーが同バージョンをフルサイズのタブレットに移植していたようだが。

 このような機能はもちろん、AppleのiOSへの対抗を念頭に置いて設計されたようだ。確かに、アプリを7インチあるいは9インチの画面で実行できれば、Googleのアプリストアのポテンシャルは高まるだろう。同社のストアは幅広い品揃え――数十万種を超えるアプリがある――にもかかわらず、AppleのApp Storeには及ばない。

 Honeycombは2011年にiPad以外のタブレットの市場を加速させる追い風となるかもしれない。Raymond Jamesのアナリスト、ブライアン・アレクサンダー氏は、Motorolaの「Xoom」のようなデバイスは、Honeycombに関連する改良が大きな後押しとなり、同年第1四半期に多ければ100万台出荷されるとみている。

 調査会社IDCも2011年初めに、Android搭載機だけではなく、Research In Motion(RIM)の「Playbook」なども含めたタブレットの市場が加速すると予想している。「新しい製品とサービス、流通経路の拡大、価格競争、消費者や企業が新たな利用法を試してみること」が合わさって、市場を推進すると、同社のモバイル機器調査ディレクター、スーザン・ケボーキアン氏は語る。

 タブレット向けによりしっかりしたAndroidがリリースされれば、企業での採用推進にも貢献するだろう。特に、大手の企業向けソフトメーカー――SAP、Salesforce.com、Oracle、IBM、Microsoft――Androidサポートプログラムを立ち上げればそれが進む。iPadは、iOS 4.2で追加されたワイヤレス印刷やセキュリティ強化のおかげで企業にも大きく食い込んでいるが、Androidタブレットは全般的に「企業ユーザーが欲しいデバイス」調査で躍進しており、プラットフォームの改良でIT管理者や購買担当者への訴求力も高まるだろう。

 言い換えれば、AndroidはiPadにさらに厳しい戦いをもたらしそうだ。

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