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» 2011年11月24日 12時48分 UPDATE

回線やサービスの“無線化”が焦点に――野村総研が2016年までのITトレンドを予想

「ブロードバンド」「モバイル」「ネットビジネス」「メディア」の各市場における予測や主要トレンドを発表した。

[ITmedia]

 野村総合研究所は11月24日、2016年度までの国内を中心とするIT主要4市場(ブロードバンド、モバイル、ネットビジネス、メディア)に関する動向分析と規模予測の結果を発表した。IT市場の多くの分野で成熟期、転換期を迎え、今後はブロードバンド回線や各種デジタルサービスの利用では有線系から無線系へ移行する動きが強まるとしている。各市場のトピックスは以下の通り。

ブロードバンド市場

 2010年度の固定ブロードバンド加入件数全体は、前年度比で約4%の伸びにとどまり、成熟化の様相を強めている。新規加入者が、ITリテラシーの低い層が中心になることに加えて、無線インターネットの高速化に伴う需要シフトにより、成長率は鈍化していくとみられる。2016年度末には固定ブロードバンド回線全体の加入件数が約3450万件、売上規模は約1兆9100億円(うち光ファイバが約2440万件、約1兆4400億円)に達すると予測される。

 SaaS/ASP市場は、情報システム費用の縮小というメリットに加え、官公庁での利用が進むなど、導入事例の認知も進み、利用意向が高まっている。これまでは部署単位や小規模プロジェクトなど、特定領域におけるSaaS/ASPの利用に留まっていたが、ERPなどの全社基幹系システムまで、その利用範囲を拡大する動きが見られる。このような傾向を受け、市場規模は2011年度の約5600億円から、2016年度には2倍強の約1兆2000億円に達すると見込まれる。

モバイル市場

 携帯電話の通信事業収入の市場は、ユビキタス端末および監視カメラや自動販売機にモバイル通信機能が搭載されたM2M(Machine to Machine)端末の普及が拡大する。その結果、携帯電話の契約回線数は、2011年度の約1億2400万回線から、2016年度には約1億3800万回線へと増加が見込まれる。売上規模では約6兆8600億円から約9兆円に拡大すると予想される。

 ワイヤレスブロードバンド市場は、2011年度には約1200万回線の契約で、約4000億円の規模と推定される。今後、スマートフォンやタブレット端末が増え、モバイルWi-Fiルータなどのインターネット接続機器の設置拡大とともに、利用者のすそ野が拡大する。2016年度には約2000万回線、売上規模では約6200億円の市場に成長すると予測される。

 全世界の携帯電話端末市場は、成熟化した先進国市場での販売減を補って、新興国市場での成長が進むとみられる。2011年度の約13億4000万台から、2016年度には約17億2000万台に達すると予測されます。先進国、新興国問わず、スマートフォンの普及が進んでおり、日本でも2016年度には販売台数に占めるスマートフォン比率は7割強となる見通し。

 タブレット端末市場は、A4以下のモバイルノートPCやネットブックの市場を置き換える形で成長していくと見込まれ、2016年度には世界で約1億台、日本では約500万台が販売されると予測される。タブレット端末の普及は、先進国と新興国で同時並行的に進んでおり、2016年度には販売台数、普及台数の半分以上を新興国が占めると見込まれる。また、電子書籍端末は、AmazonのKindleの低価格モデルの発売により、2016年度には世界で約8700万台、日本で約210万台が販売されると予測される。

ネットビジネス市場

 2010年度のBtoC EC(消費者向け電子商取引)の国内市場は、前年度比20%増加して約7兆7200億円と推計される。今後も引き続き、年平均約11%の割合で成長し、2016年度には約14兆円に達すると予測される。ECを行う際にPCを利用している人が8割弱を占めるが、今後は、携帯電話、スマートフォンおよびタブレット端末を利用する人が増えていく見込み。また、インターネット上で販売するだけでなく、現実に存在する店舗への集客を目指すO2O(Online to Off-line)のアプローチが注目されています。O2Oの実現により、EC市場の範囲が“モノ”から“サービス”まで拡大していくことで、ECの新たな事業機会が開ける可能性が高まっている。

 インターネットオークションでは、リーマンショックの影響を受けて、2008年度以降、市場規模の縮小傾向が続いています(2011年度で約8300億円と推計)。2012年度からは緩やかな成長軌道に乗り、2016年度で約9800億円に拡大すると予測される。

 電子書籍市場は、2010年度以降、配信サイトが増加し、各サイトではコミックを中心にコンテンツの充実化が図られることから、拡大する見込み。利用端末も、読書に適したスマートフォンやタブレット端末の普及が拡大していることから、書籍コンテンツ配信市場は2011年度の約770億円が、2016年度には約1700億円まで成長すると予測される。

 ソーシャルゲーム市場は、ゲーム開発会社がソーシャルゲームに注力していることから、ゲームの質の向上や種類の増加、ユーザー層の若者以外への拡大および利用額の増加により、規模が拡大する見込み。2011年度の約2000億円が、2016年度には約3900億円に達すると予測される。

メディア市場

 2011年のソーシャルメディア利用者数は約3200万人と推計されるが、成長の余地は十分に残している。ソーシャルメディア市場は、会員数増加、PV数増加、さらにはソーシャルグラフ(現実社会とネット上での人間関係)を生かした広告商品の登場により、今後も急拡大する見込み。2011年の約190億円から、2016年には3倍を超える約580億円に達すると予測される。

 大手新聞社や出版社が、消費者向け配信サイトへ電子版コンテンツの提供を進めることにより、消費者への電子新聞・雑誌の販売が拡大している。スマートフォンやタブレット端末の普及に伴い、さらに利用が拡大するとみられ、電子新聞・雑誌市場は、2011年の約490億円から2016年には約1100億円へと、2倍以上に拡大するものとみられる。

 地上デジタル放送の視聴世帯数は、2010年度の1年間で約3900万世帯から約4500万世帯へと、600万世帯程度の増加が生じた。一方で、地上波テレビ広告費の市場は、「アナログ停波に伴うテレビ視聴世帯数の減少」、「家庭のテレビ保有台数の減少」、「地上波テレビ番組視聴時間の減少」の3点から、伸びが低迷するとみられる。2011年の約1兆6500億円からほぼ横ばいで推移し、2016年には約1兆7300億円になる見込み。

 スマートテレビの利用世帯は、2011年度の約27万世帯から、2016年度には約770万世帯に急拡大すると予測される。スマートテレビの利用意向が高い層は、映像コンテンツの視聴時間が長い“ヘビーユーザー”である割合が高い傾向が見られる。これにより2016年度には、放送およびインターネット上の映像コンテンツを合わせた日本人全体の映像視聴時間のうち、スマートテレビ経由が約20%にまで増加する見込み。端末が多様化するとともに、1台の端末でさまざまな映像視聴が可能となるため、各メディア(コンテンツ供給者)間の競争が激化するとみられる。

 2012年度から立ち上がるモバイルマルチメディア放送市場は、2016年度には約460億円に達すると予測される。2016年度以降は、スマートフォンなどの対応端末の普及が一巡するといった要因から、ゆるやかな成長で推移するとみられる。

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