「2ちゃんねる」で5000件以上の違法情報が“放置”されていたとされる問題、そもそもこうした情報の発見や対応はどのように行われているのだろうか。ネット上の違法情報や有害情報の把握、削除要請にあたるのが「インターネット・ホットラインセンター(IHC)」と呼ばれる組織だ。
IHCは2006年6月1日にスタートし、ISP各社やネット関連企業で構成する財団法人インターネット協会が運用する。民間団体ながら警察庁からの委託に基づいて運営されているのがポイントだ。ネット利用者から違法情報や有害情報の通報を受け付け、ガイドラインに基づいて情報を分析し、Webサイト運営者やサービス事業者への削除依頼、また、警察への通報やITセキュリティ企業などに情報提供している。
そもそも、「違法情報」や「有害情報」とはどのようなものだろうか。IHCによると、違法情報とは次の通りだ。
また、有害情報とは以下のように定めている。
違法・有害情報はWebサイトなどで通報を受け付けているが、殺人や爆破、自殺予告など緊急性が高い情報は警察への通報を呼び掛ける。警察が受け付けるのは基本的に違法情報についてだ。
警察は、違法情報の通報を受けて「全国協働捜査方式」で検挙にあたる。IHCからの通報はまず警視庁で一括して受け付け、情報発信元の解明などの初期捜査を行った上で、各都道府県の警察本部が捜査を担当する方式だ。警視庁が窓口なのはISPの拠点が都内に多いためで、発信元が東京以外の場合の広域連携を効率的、迅速的に行うのが目的だ。警察庁は今年4月から、有害情報がきっかけとなる捜査もこの方式を採用するようになった。
11年にIHCが受けた通報件数は、前年比298件増の17万6254件、情報件数は同6631件減の18万2757件。内訳は有害情報が4840件減の4827件、違法情報が1557件増の3万6573件、その他が3348件減の14万1357件となっている。
違法情報のうち警察に通報されたものは2万3846件(882件増)で、うち検挙に至ったものは1599件(1194件増)。わいせつ物関連事件が77.2%、規制薬物関連事件が6.6%、児童ポルノ関連事件が6.1%などだった。
IHCがWebサイト管理者などに削除を依頼したのは違法情報が1万4924件、有害情報が913件。そのうち実際に削除されたのは違法情報が9543件(63.9%)、有害情報が447件(49.0%)だった。
通報したものの削除されなかった違法情報は5381件、有害情報が466件。削除されなかった違法情報の94.1%に当たる5063件は、「特定のサイト管理者がほとんど削除に応じないことによるもの」(警察庁)というもので、この“特定のサイト”が「2ちゃんねる」(2ch)だったという。
この問題をめぐって、警察庁が2chを名指しで挙げ、一般紙やテレビが相次いで報じたのを受け、2ch開設者の西村博之さん(ひろゆき氏)は5月16日、ブログで、「おいらが知ってる警察から送られたeメールの削除依頼は2通です」「その他、封書やはがきなどは、送られていません」「その2通に関する書き込みは、削除済みです」とコメント。
「んで、何千件の削除依頼が云々といった報道がありますが、そのメールは財団法人インターネット協会が運営するインターネット・ホットラインセンターからのeメールなのですが、警察が送ったと誤読するように記事が書かれていますね」とつづっている。また「司法によって違法と判断されない限りは合法というのが日本の法律です」としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR