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菊ねえちゃん論──「リンかけ」と「星矢」と女性の社会進出部屋とディスプレイとわたし(5/5 ページ)

» 2012年11月22日 16時44分 公開
[堀田純司,ITmedia]
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 現代ではもはや「男が前衛、女が後衛」どころか、草食化というか「がんばっている女の子を応援したい!」という心境が一部の男子にはあるようです。AKB48ファンの人も、きっとそうではないでしょうか(もしかして「プリキュア」ファンも?)。

 創作物の世界でもこの風潮を反映して、驚いたことにあのマッチョ思想の根強いアメリカですらも、スーザン・コリンズの「ハンガー・ゲーム」のように、可憐な少女(そういえば彼女も姉)が戦う物語が登場。大ヒットしてしまうようになりました。

 この作品では16歳の少女が「24人の若者の中からただひとり生き残る」という死のゲームを戦いぬくのですが、男子のパートナーは、積極的に戦うよりもむしろこちらが彼女をバックアップ。それもメディアリテラシーを活かして彼女に有利なように演出するなど、フィジカル面よりメディア戦略面で活躍し、なんだかこの辺りも現代的な感じがします。

 ちなみに本作は映画にもなりヒロイン、カットニス・エヴァディーンをジェニファー・ローレンスが演じていますが、映画版では男子のデクノボー化がさらに進行。後半は女の子が命を賭けて戦い、男は単に守られるだけの存在になっていました。今までとはまったく正反対の構図です。

 アメリカではほかにも、スティーブン・ソダーバーグがプロの女性格闘家ジーナ・カラーノを起用し、男がぶっ飛ばされる映画をつくっていますが、恐らく菊ねえちゃんもまた現代に生まれていれば、弟を導くのではなく、自分自身が戦いのリングに立っていたことでしょう。ぜひとも私も、がんばっている菊ねえちゃんを応援したいものです。


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堀田純司 1969年大阪府生まれ、作家。著書に「僕とツンデレとハイデガー」「人とロボットの秘密」などがある。近刊は「オッサンフォー」。書き手が直接読者に届ける電子書籍「AiR」(エア)では編集係を担当。講談社とキングレコードが刊行する電子雑誌「BOX-AiR」では、新人賞審査員も務める。Twitter「@h_taj


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