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Google、10代向けに「ゼロからプログラミング」ワークショップ Raspberry Piで初歩学ぶ

» 2013年10月29日 16時50分 公開
[山崎春奈,ITmedia]
photo Google エリック・シュミット会長

 Google日本法人は10月29日、コンピューターサイエンス教育を支援する「コンピューターに親しもう」プログラムをスタートした。安価な小型コンピュータと初学者向けソフトウェアを使って実際にプログラミングを行い、基本的な知識や論理的な思考力などを養う。学校や地方自治体などと連携し、児童や教員向けにワークショップを行っていく。

 同日、来日した米Googleのエリック・シュミット会長が訪問した都内の私立校で発表した。シュミット会長は「日本の教育レベルの高さと比較して、まだまだソフトウェア産業での存在感は弱い印象。自分もプログラミングを独学で学んだように、面白いと感じるきっかけがあれば興味を深めていく子どもは多くいるはず。ティーンエージャーにコンピュータサイエンスに触れてもらう機会を増やすことがよい変化の第一歩になれば」と語った。

 Linuxベースで動作し、30ドル前後で購入できる安価な手のひらサイズコンピュータ「Raspberry Pi」(ラズベリーパイ)と、米マサチューセッツ工科大(MIT)で開発された子ども用プログラミング言語「Scratch」でワークショップを展開。6〜15歳の児童・生徒向け、教員や指導者向け、親子向け、の3タイプを学校や教育機関、地方自治体などと連携して開催する。

photo 約30ドルの「Raspberry Pi」
photo ワークショップの様子

photo CANVASの石戸理事長

 カリキュラム開発は、子ども向けにICTリテラシーに関するワークショップ教育を行うNPO法人CANVASが協力する。CANVASの石戸奈々子理事長は「プログラマーを育てたいわけではなく、論理的な思考や想像力、コミュニケーション能力など、情報社会を生きる上で欠かせない能力を養うひとつの手段としてプログラミングを捉えている。コンピュータ“を”使うだけでなく、コンピュータ“で”何かを作る楽しさをより多くの子どもに知ってもらいたい」と狙いを話す。

 第1弾として同日、子ども向けプログラミング学習書を著書に持つ阿部和広さん(CANVASフェロー)を講師とし、広尾学園高校(東京都港区)の1年生約40人に1時間の特別授業を開講。今後はCANVASの公式サイトを通じ、全国の学校・自治体関係者からの申し込みを募る。

 事業化や収益化は目的としないプロジェクトで、Raspberry Piを用いた教育プログラムの提供は英国に続き2カ国目。1年以内に5000台のRaspberry Piの提供、2万5000人以上の参加を目標とする。

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