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「広く問題提起」──ドワンゴ「入社試験に受験料」発案の川上会長に聞く、その真意と“就活”観(3/5 ページ)

» 2013年12月06日 11時58分 公開
[山崎春奈,ITmedia]

──疲弊しながらも新卒採用を続ける意義はあるのか

 不満な点はいくつもありますけど、新卒一括採用というシステム自体は素晴らしい制度だと思っています。世界各国を見ると、景気が悪くなると若者の就職率が下がる国がほとんど。新卒も中途も同じような採用フローにすると、経験者が有利に決まってるんですよね。若者には仕事を選ぶどころかつく機会すら与えられない。未経験者であることを前提とした最初のチャンスが開かれてるのは大事なことです。はっきり言って、自由競争になって得するのは一部の優秀なエリートだけですよ。社会全体の幸せを考えた時、新卒採用を続けることには大きな意味があります。

──応募者は毎年右肩上がりの中、この数年で学生の傾向に変化はあるか

 よくも悪くも、(ドワンゴが)大企業と思われている気がしますね。大きくもないし立派じゃない、全然まともじゃない、っていろんなところで伝えてるつもりなんですけど(笑)。もちろんまともにやらなきゃいけない部分もありますが、可能な限り逆らっていきたい気持ちはありますよ。

 採用面でも、僕自身としては「まともじゃない人」をとりたいと思いつつ、採用する側が普通の人だと難しい。どうしても「理解できない人」を選んでしまいがちなんですよね。その違いは大きいです。自分に理解できない人をとってもダメ。採用する側が本当にいいと思ってる人をとらないと意味がない。

「母数が減ればいいわけじゃない」

──「数年前には『記念受験の方も歓迎します』という告知を出してたのに」という指摘もあった

 あれは気付いた瞬間激怒しました、「こういうことじゃない!」って。僕がエンジニアの採用数を増やしたいと言ったらああいうコピーになったんですよね。あの時は「説明会に来たらノベルティプレゼント」とかもやってたんですよ。もうね、コンセプトが全く違う。母数を集めればいいわけじゃない。

 そういう意味では今回の試みも、母数が減ればいいわけじゃない。僕たちの採用活動のスタンスに共感できる人が来てくれればいいなと思っています。吉と出るか凶と出るかまだわからないですが、例年とのエントリー数の差や成果に関しては折を見てデータを公表するつもりです。

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