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Pinterest、日本のユーザー数が5カ月で1.5倍に 「日本の文化はユニーク」とシルバーマンCEO

» 2014年04月07日 16時29分 公開
[本宮学,ITmedia]
photo シルバーマンCEO

 「Pinterestの日本向けサービスは成長している」――米Pinterestのベン・シルバーマンCEOとピンタレスト・ジャパンの定国直樹社長は4月7日、画像共有SNS「Pinterest」のサービス状況について都内で説明した。昨年11月に日本向けWebサイトをオープンして以来、国内の月間アクティブユーザー数は非公開ながら1.5倍に増加したという。今後は他企業とのコラボレーション企画などを通じてさらなる成長を目指す。

 まず、ファッション誌「VOGUE JAPAN」(コンデナスト・ジャパン)とのコラボレーション企画を実施。4月7日にVOGUE JAPANのPinterest公式アカウントを開設したほか、今後はVOGUE JAPANが関わるリアルイベントとの連動キャンペーンなども展開していくという。

 また5月からは、農林水産省が手掛ける日本の食文化発信キャンペーン「Oishii Japan」(おいしいジャパン)との共同施策をPinterest上で展開していく。Pinterestに出資する楽天のレシピサイト「楽天レシピ」と連携し、日本の食文化を世界のPinterestユーザーに発信していくという。

photo 「Oishii Japan」のPinterestページ

日本は「ビジュアルな発見の重要性を理解している」

 Pinterestは、2010年にオープンした米国発の画像共有SNS。ネット上の画像や動画を「ボード」に「ピン」(スクラップ)し、テーマごとにまとめて整理したり、興味の近いユーザーのコレクションを自分のボードに加えたりして楽しめる。世界31カ国でサービスを展開しており、約7000万人のユーザーを抱えているとされている(仏Semiocast調べ)。

photo 昆虫標本からPinterestの構想が生まれたと話すシルバーマンCEO

 「Pinterestはユーザー自身のコレクションをシンプルに公開できる場」とシルバーマンCEOは説明する。「私は昔からチョウなどの標本をつくるのが好きで、この標本をオンラインで作れるようにしたいと思ったのが開発のきっかけ。その時にはすでにFacebookやFlickrもあったが、自分が集めたコレクションを整理するためのサービスはなかった」

 Pinterestでは現在、一般ユーザーのほか料理人、アーティスト、ファッション店舗や美術館――など、プロ/アマチュア問わず多数のコレクションが公開されている。ユーザーはこれらを閲覧して楽しめるほか、「関連性のあるコレクション同士がリンクすることで、新たな発見を得ることができる」とシルバーマンCEOは話す。

 現在31カ国でローカライズ版サービスを提供しており、昨年10月には世界4番目の現地法人となるピンタレスト・ジャパンを設立、11月に日本語でのサービスをスタートした。「日本はビジュアルな発見の重要性を認識しているそう多くない国の1つ。視覚的なイメージがたくさんの情報を持つことを理解している」とシルバーマンCEOは期待を込める。

コラボ企画で「日本のニッチでディープな文化」を世界に

photo ピンタレスト・ジャパンの定国社長

 米国では、企業などが自社の商品をユーザーのピンボードに表示できる「Promoted Pin」(広告ピン)による収益化を進めているが、「日本でのマネタイズは今後1年間全く考えていない」(定国社長)という。

 収益化の代わりに日本で進めるのが、他企業とのコラボレーションなどを通じたユーザーコミュニティーの活性化だ。5月に始める農林水産省との共同キャンペーンでは、楽天レシピに投稿されているレシピをピンできる特設ページを開設。「日本の食文化を世界に発信していく」と定国社長は意気込む。

 こうしたコラボレーション企画は今後も実施していくという。「日本はグルメやファッションなど、他の国にないユニークな文化がある。今後、世界のユーザーが日本の文化を知る機会がますます増えていくだろう」とシルバーマンCEOは話す。

 シルバーマンCEOは今回の来日時に日本の書店を見て回り、「ドラゴンボールZ」「G-SHOCK」「ランサーエボリューション」などさまざまな商品の解説書があることに驚いたという。「日本の文化は外から見ると“ニッチ”で“ディープ”。Pinterestでこれを世界に発信していきたい」と定国社長は話している。

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