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小保方氏の実験環境は「犯罪人扱い」 「STAP現象」検証実験リーダーが批判

» 2014年12月19日 16時13分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 「予想をはるかに超えた制約の中での作業」――理化学研究所を12月21日付けで退職予定の小保方晴子研究員は、19日付けで発表した声明で、「STAP現象」検証実験をこう振り返った。

画像 小保方氏の実験環境について批判・謝罪する相澤氏

 検証チームの相澤慎一氏チームリーダーは、小保方氏が専用の監視カメラ付き実験室で、立ち会い人のもとに実験を強いられたことを「犯罪人扱い」と表現し、「科学のやり方ではない」と批判。「検証実験の責任者として責任を感じている」と述べた。

 小保方氏が検証チームで行った実験は、500万円かけて構築した専用の実験室で、研究所が指名した立会人のもとで実施。25平方メートル・出入り口は1つのみで、入退室はIDカードで管理され、天井に監視カメラが2台設置されていた。

 理研の坪井裕理事によると「理研は、検証実験はこの条件のもとでのみ行うと決め、小保方氏も同意した」という。小保方氏は9月16日〜11月22日にかけ、実験を行い、12月15日までに結果をとりまとめた。

画像 小保方氏専用の実験室の見取り図

 小保方氏が声明で述べた「予想をはるかに超えた制約」が具体的に何かは明らかになっていないが、相澤氏によると、専用実験室では「物の出し入れも自由にできず、ディスプレイがないため細胞塊のデータの解析も自分ではできず、ほかの人にゆだねるしかない」などの制約があったという。

 相澤氏は19日の記者会見終了後、部屋から退出しかかった後、「1つだけコメントさせてください」と戻り、マイクを取って、小保方氏の研究環境について以下のように批判・謝罪した。

 「小保方さんの検証事件を、このように立ち会い人を置いてやるのは科学のやり方ではない。科学のことは科学のやり方で処理をしないといけない。このような実験をしてしまったことに、検証実験の責任者としてすごく責任を感じる」

 「このように犯罪人扱いしたような形で科学の行為を検証することは、あってはならないことだと思う。そのことに関して、検証実験の責任者として深くおわびを申し上げるとともに、責任を感じています」

退職受理は「心労に配慮」 懲戒処分は議論へ

 理研は15日に小保方氏から退職届を受け取り、21日付けでの退職を認めた。小保方氏への懲戒処分に関する議論が始まる前に退職を受理した理由について、「野依良治理事長の声明と重なるが、小保方氏はこの10カ月間あまり心労が重なっており、これ以上負担を増すことは避けたい」(坪井氏)と判断したという。

 Nature論文(撤回済み)の不正に関する懲戒処分は、理研が9月に改めて立ち上げた外部識者による調査委員会の調査が終わり次第、改めて議論する。小保方氏は退職済みだが、「どういう処分に相当するかは検討する」(坪井氏)という。また、小保方氏は任期制・年俸制の職員のため、退職金はないという。

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