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中国市場の台風の目「なんちゃって4K」テレビを買って驚いた(1/3 ページ)

» 2015年11月10日 10時56分 公開
[山谷剛史ITmedia]

 中国では55インチで4000元(約7万6000円)を切るという、「4K」のAndroid搭載スマートテレビが中国メーカー各社から登場し、販売されるようになった。これまでは3000元(約5万7000円)前後で48インチ〜50インチの「2K」Android搭載スマートテレビというのが相場だったが、あと1000元プラスすればさらに5インチ大きい「4K」テレビが買えるとあって、注目の製品になりつつある。中国のリビングルームは日本に比べ広く、十分に置くスペースはある。

photo スーパーの家電売り場でも大画面テレビが売られている

 今年も11月11日には、中国のオンラインショッピング祭り「双十一」がやってくる。動画サイト「pptv」は、これに先駆け10月末に、55インチのスマートテレビ「pp電視55p」を2799元(約5万3000円)という驚きの期間限定価格で発売した。これを追うように、創維(Skyworth)系の創開電視も、55インチ4Kスマートテレビを3099元(約5万9000円)で特別提供。今年の「双十一」では、大画面スマートテレビが各メーカーの思い切った価格でかなり売れそうな雰囲気だ。

photo 55インチスマートテレビが2799元で登場

 ちなみに「pp電視55p」のスペックを簡単に紹介すると、CPUにはMTK5508 Cortex-A17 1.3GHz DualCore、GPUにはMali-450 MP4、DDR3 2GB、eMMC 8GB ROMとなっている。3系統のHDMI入力のほか、USB3.0コネクタ、USB2.0コネクタ、ミニD-Sub 15ピンコネクター、1チューナーとなっている。

photo ppposというカスタムROMを採用

寂しい大手家電量販店

 そこで、今後注目されるであろう48〜55インチのスマートテレビとはいかなるものか──と、中国の大手家電量販店「蘇寧電器」に行ってみた。

 10年ほど前にはセールの期間ごとに人でごった返した家電量販店だが、オンラインショッピング普及のあおりで、今や中国各地のほぼ全ての店舗で、いつでも店員の数が客の数を上回っているという状況だ。店員は客を勧誘する気力もなく、退屈そうに時間を潰している。もはやリアル店舗で見てネットで買う「ショールーミング」目的ですら足を運ぶ人は少なく、中国のユーザーはテレビだろうと冷蔵庫だろうと数字上のスペックだけで判断しているらしい。

 決して蘇寧電器の販売価格は高くはない。むしろよく頑張っている。蘇寧電器は本気でシェアを獲得しようと、大手ECサイト「天猫」や「京東」に負けない価格設定のネットショップ「蘇寧易購」も運営し、リアルとネットで同じ価格を付けて販売。店内では無線LANを開放し、ネットにつながるPCまで用意している。以前は値引き交渉が当たり前だったが、もはや交渉不可能なほどの低価格で販売をしている。「pp電視55p」も、リアル店舗で2799元という低価格である。

 それでも客は来ない。手前味噌だが、こちらで2008年2011年に家電量販店購入レポートを書いている。徐々に衰退していく中で変わってきているのだ。

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