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2016年06月24日 11時00分 UPDATE

あふれるダム愛が決壊寸前!? 国交省の異色サイト「ダムコレクション」、完成までにファンと歩んだ9年間 (1/2)

「どう見てもダムファンが作ったとしか思えない」――国交省が今年3月に公開した“ダム好き”のための情報サイト「ダムコレクション」が話題だ。その開設に至るまでには9年来の思いがあったという。

[片渕陽平,ITmedia]

 「ダム」といえば治水などのための施設だが、その巨大さや美しさなどから一定のファンがいることで知られている。今年3月、そんなダム好きたちの間で、あるWebサイトが大きな話題になった。国土交通省が立ち上げた“公式”ダム情報サイト――その名も「ダムコレクション」だ。

photo 国交省が立ちあげた「ダムコレクション

 100カ所超のダムの見どころや「おすすめダムツアールート」のほか、「ダム知識ファイル」「ダムインタビュー『時代を映すダム』」「放流写真コレクション」といった多数の独自コンテンツを用意。Twitterでは「ダムの時代が来た!」「どう見てもダムファンが作ったとしか思えない」「役所とは思えぬ良い仕事」などの声が上がっている。

 「説教がましいサイトにはしたくなかった」――サイト作りを担当した国土交通省 水管理・国土保安局の三橋さゆりさんはそう話す。「整備したダムがどんな役に立っているのかを伝えたくても、正攻法ではだめで、興味を持ってもらえない。ファンを生み出すために、入り口となるような方法が必要だった」(三橋さん)。

photo 100カ所超のダムの見どころを紹介。詳細な情報に「どう見てもダムファンが作ったとしか思えない」などの声が上がっている

原点は9年前、逆境が生んだ「ダムカード」

 「“矢木沢汁”を浴びるぞ!」――いま、ダムを巡るツアーが脚光を浴びている。群馬県の矢木沢ダムが年に1度だけ水門を開放する「点検放流」には、1400人以上が殺到。レインコートや傘を持参し、通称「矢木沢汁」と呼ばれる水しぶきを浴びるのが恒例になっている。だが三橋さんによれば、そんな“ダムブーム”を迎えるまでには苦難の歴史があったという。

photo 矢木沢ダムの点検放流には1400人以上が殺到。通称「矢木沢汁」と呼ばれる水しぶきを浴びる。
photo 国土交通省 水管理・国土保安局の三橋さゆりさん

 ダムコレクションの原点は、2007年にさかのぼる。当時は「ダムはムダ」「脱ダム」などのフレーズが流行し、「世間のダムに対するイメージはよろしくなかった」(三橋さん)。「ダムが洪水を引き起こす」などの誤解が広まり、「とりあえずダムを批判しておけばよい」という考えが流布する中で、正しいダムの効果を伝えるために、画期的な方法はないかと模索していた。

 そんな中、ネット上で“ダムが好きな人たち”がいることを知った三橋さんは、ファンたちの会に参加することに。「当時はわずか20人ほどしかファンがいなくて“サブカルチャー”にすぎなかった」が、彼らとの交流を深めていった。するとあるとき、ファンの1人が漏らした「ダムに行かないともらえないカードがあれば」というアイデアに「これだ! いける!」と可能性を感じたという。

photo 国交省が配布している「ダムカード」。表面に写真、裏面に説明が入っている

 ファンたちと協力しながら、国交省管轄の111カ所のダムについて、写真や説明入りの「ダムカード」を作成。「パンフレット」という位置付けで、ダムに立ち寄った人に07年から配布を始めた。こだわったのは「わざわざダムに来た人にしか渡さない」「1人1枚で原則手渡し」「キラキラしたカードは作らず、プレミア感は出さない」「品切れしないように十分な数を用意する」といったルール。全国のダム管理所に「淡々と真面目に配るように」と依頼した。

 「派手な宣伝はしなかった。無理に押し付けると、最初は興味を持ってもらえても、すぐに飽きられてしまう。じわじわと広がるのを待った」(三橋さん)

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