「神曲」「かわいい曲がたくさんあって良かった」「最高でした!!」
――これは、人気アイドルの新譜CDに寄せられた声……ではない。ある参考書を購入した中学生からのアンケートハガキの抜粋だ。「表紙を見ただけでやる気が出る」「頭に入りやすい」など、参考書としての評価も上々だ。
その参考書とは、学研プラスが4月に発売した「MUSIC STUDY PROJECT ボカロで覚える中学歴史」「同 中学理科」(各税込1728円)。前代未聞の「楽曲PV付き」の参考書なのだ。
人気の「ボカロP」(歌声合成ソフト「VOCALOID」を使って楽曲を作るクリエイター)が作詞作曲した学習用の歌を各10曲収録。全曲にプロモーションビデオ(PV)風のオリジナル動画を用意し、スマートフォンで視聴できるようにした。
発売前からネットで話題になり、4月22日の発売から約2カ月で累計発行部数が13万部を突破。1年で1万部ほどが通常という中学参考書業界で異例の大ヒットを記録している。
「いまどきの中学生に響く、新しい参考書を作りたい」。企画した同社小中学生事業部の八巻(やまき)明日香さん(30)はそう考えて企画し、「中二病」の雰囲気を大切にしながら編集したという。
少子化が進む中、中学生向け学習参考書市場は厳しさを増すばかりだ。「参考書で勉強してくれる人を増やすには」――同社は試行錯誤しながら、斬新な参考書を生み出してきた。
昨年発売した「セシルマクビースタディコレクション」はその1つだ。10代女子に人気のファッションブランド「CECIL McBEE(セシルマクビー)」とコラボし、ガーリーなデザインとイラストを散りばめた“かわいい参考書”で、発行部数は10万部を超えたという。
「スター・ウォーズ」やディズニーの人気キャラクターをデザインした参考書も話題になった。ミシン目に沿って切り離すと、英単語や社会科などの「暗記カード」になるというもので、スター・ウォーズなら英単語はダース・ベイダー、理科はヨーダ……などと教科ごとに異なるキャラクターを採用。グッズとして愛着が持てるようになっている。
そんな流れの中で生まれた「ボカロで覚える」参考書。「いまどきの中学生は“PV世代”ではないか」――出発点はこんな分析だった。
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