収録曲は、「全体的に“中二病風”にしたかった」という。ネガティブな意味ではない。「かっこよさの“ツボ”」としての中二病だ。
ヒーローやアイドルが活躍するキラキラした世界観は、今の中学生には「子どもっぽくてダサいと思われてしまう」。皮肉が含まれていたり、自己陶酔的だったり――少し背伸びした「中二病」な世界観こそが、中学生に受け入れてもらえるコンテンツのキモだという。
例えば、「厨病激発ボーイ」の替え歌で気象について学ぶ「厨病理科ボーイ」(作詞作曲:れるりり)は、「右腕が疼き出した 覚醒の刻はまだ早い」という歌詞を、「右周り動き出した 覚醒の高気圧だな」に替えるなど、原曲の「中二病」な雰囲気を残した歌詞が工夫されている。
一方で、いかにも学習歌っぽい素直な曲調の曲や恋愛ソングも収録し、「中二病」だけに偏らない多様性をもたせた。「雑多な雰囲気がボカロっぽさでもあるので」。各Pの個性を発揮してもらい、全曲ができるだけ異なる雰囲気になるよう心がけたという。
例えば、原子や分子を学ぶオリジナル曲「アトミック恋心」(作詞作曲:ナユタン星人)は、「わたしとあなた 出逢う前から感じたの ディスティニー 手と手ふれあえば まるで分子」と、原子と原子の結びつきを恋に例えた。「光合成の歌」(作詞作曲:トラボルタ)は、「葉緑体で作るのさ デンプンの生産工場」と、分かりやすい歌詞をリズミカルに歌う。
曲作りと並行し、PVに収録するイラストを描く「絵師」と、PV動画を編集する「動画師」にも声をかけた。Pと同様、人気の作家たちが喜んで協力してくれたという。
PVには、学習内容を解説するイラストやキーワードを取り交ぜ、用語や映像が頭に残るよう工夫した一方で、「いかにも学習用動画」な“ダサさ”から一線を画し、テンポの良いスタイリッシュな仕上がりになるよう気を配った。
「かっこよさやクオリティが既存のボカロ曲に負けていないか、常に意識した。“勉強”というだけでダサく思われてしまうかもしれなかったので、『教材としてはこのくらいでいいんじゃない』というレベルを超え、PVとして本当にかっこいい、面白いと思ってもらえるレベルに到達したかった」
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