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人工知能が書いた書籍「賢人降臨」発売 あえて無校正、「AIの未来感じて」

» 2016年08月24日 15時21分 公開
[ITmedia]

 人工知能(AI)関連の研究開発などを手がけるクエリーアイ(名古屋市)は8月24日、独自開発の人工知能「零」(ゼロ、開発コードネーム)に、福沢諭吉と新渡戸稲造の作品を学習させて書かせた書籍「賢人降臨」を、「dブック」で発売したと発表した。800円(税別)。

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 福沢諭吉の「学問のすすめ」と新渡戸稲造「自警録」を、ディープラーニング(リカレントニューラルネットワーク)で零に学習させた上で、「若者」「学問を修め立身」など5つの“お題”を与え、文章を創作させた。

 作品は、原典とほぼ同じ文が続くが、文の構成や順序が変わっていたり、同じことを繰り返すなど、お題に合わせて変化した部分があるという。あえて校正・校閲を行っていないため、乱れた文章もあるが、「現時点での技術がどのレベルかを読者に知っていただくためにも、あえて間違いの訂正はしていない」という。

 「学問のすすめ」「自警録」を選んだのは、(1)論旨の明快さや文章の構造や流れが、人工知能に学習させるには適していそう、(2)人智を学ばせるにふさわしい内容――という理由から。作品は全体で6万文字で、一般的な紙の新書の半分程度の量だ。

 「人工知能が過去の賢人から学ぶことで、どのような答えを出していくのか。技術が過去の賢人の智を蘇らせることができるのか。人工知能が進化していく未来を感じていただくための作品」としている。

画像 「若者」「学問を修め立身」「世界を制する」「成功とは」「人とは何を示すもの」という5つの“お題”から人工知能が書いた文章(ニュースリリースより)

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