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2016年10月24日 21時15分 UPDATE

DELL EMC World 2016:DellのEMC買収、日本国内への影響は? 両日本法人トップが明かしたメッセージ

DellのEMC買収は、日本国内の企業にどのような影響を及ぼすのか――両日本法人のトップが「DELL EMC World 2016」で方針を明かした。

[山口恵祐,ITmedia]

 今年9月、米Dellがストレージ大手・米EMCを約670億ドル(約8兆円)で買収し、世界最大級の非公開テクノロジー企業群「Dell Technologies」グループが誕生した。IT業界史上最大とも言われるこの買収劇は、日本のIT業界や顧客企業にどのような影響を及ぼすのか――日本法人・デルの平手智行社長とEMCジャパンの大塚俊彦社長が、米テキサス州オースティンで開催された「DELL EMC World 2016」で今後の方針を明かした。

 両日本法人のトップがそろって会見するのは今回が初めて。DellとEMCの統合で良い関係が築けているのを裏付けるかのように、和やかなムードで進んだのが印象的だった。

photo デルの平手社長(左)とEMCジャパンの大塚社長(右)

デジタル化に必要な全ての構成要素を持ったファミリー企業に

 今回の統合で生まれたDell Technologiesは、クライアントソリューションを手掛けるDell、ITインフラ事業を手掛けるDell EMC、VMware、Pivotalなどの事業を傘下に収める。グループ全体の社員数は約14万人、顧客サポート部隊を含めれば17万人超の規模となり、約180カ国で事業を展開することになるという。

 デルの平手社長は、統合によってDellとEMCのどちらかの事業に片寄せするというわけではなく、両者が持っている強みをさらに伸ばせると強調する。

 「Dell Technologiesは、Dell EMC、Pivotal、RSA、SecureWorks、Virtustream、VMwareといったブランドを保有しており、顧客がビジネスをデジタル化するに当たって必要なものを全て内包する、他に類を見ないファミリー企業になった」(平手社長)

 1984年に創業し、PCの製造販売を中心に成長してきたDellは、2000年代後半から総合ITソリューションプロバイダーへの変革を掲げ、ここ数年で複数のエンタープライズ向けITベンダーを買収してきた。平手社長によれば、これらの買収も“顧客視点”があってのことだという。「もうかる事業を虫食いのように買収するわけではなく、顧客のシステム全体を見たときに、足りないテクノロジーを買い足していくスタンスだ」(平手社長)。

photo ハードウェアからアプリケーションまで、トータルで提供できるファミリー企業に

4つのトランスフォーメーション

 EMCジャパンの大塚社長は、今回の統合は顧客から評価されており、いいスタートを切れたと話す。その上で、顧客が「次の産業革命」を実現するための欠かせない要素として“4つのトランスフォーメーション”(変革)を提唱した。

  1. ITで自社の顧客の成長やビジネスモデル形成を支援する「デジタルトランスフォーメーション」
  2. 既存システムを近代化して競争力を生み出す「ITトランスフォーメーション」
  3. モビリティー時代に合わせて働き方を変えていく「ワークフォーストランスフォーメーション」
  4. IoT時代に重要性が増す「セキュリティトランスフォーメーション」

 大塚社長によれば、今回のDell EMC Worldで打ち出されたテーマは、過去のIT業界の流れとは異なるという。過去15年間は「Systems of Record」(SoR:記録するためのシステム)において、いかに企業の基幹システムをしっかりと運用して効率性を高めていくかという時代だったが、今後は台頭してくる「Systems of Engagement」(SoE:人との関わりを構築するシステム)、「Systems of Insight」(SoI:SoRとSoEから意思決定を得るシステム)の2つも含めてサポートを強化するという。

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統合で生まれるシナジーは

 統合による代表的なメリットとしては製品技術が挙げられる。平手社長によれば、サーバやストレージ、ネットワーク、仮想化ソフトウェアなどが1つの筺体にまとめられた「コンバージド・インフラ」は、システムが複雑になると運用が煩雑化しやすくなり、構成変更にも時間と手間がかかる。超大手企業であればまだしも、中堅クラスの企業ではそのための人手を確保するのが困難だという。

 そこで平手社長が注目するのが、ハードと仮想化ソフトなどを組み合わせたコンバージド・インフラの特徴を備えつつ、2Uのコンパクトな筺体を組み合わせてシステムを迅速にスケールアウトできる「ハイパーコンバージド・インフラ」だ。DellとEMCの統合で、これまで以上に強力なハイパーコンバージド・インフラ製品を取りそろえ、顧客にあわせた最適構成を提案できるようになるメリットは大きいという。

 実際の製品群においても連携が進んでいる。例えば今回のイベントでは、VMwareとEMCが今年発表したハイパーコンバージド・インフラ製品「VxRail」や「VxRack System 1000」に、Dellの「PowerEdge」サーバを組み合わせた「VxRail 4.0 with PowerEdge」「VxRack 4.0 with PowerEdge」を発表した。

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 「製品の選択肢が重なる部分はあるかもしれないが、事業モデルとテクノロジーという観点では完全な補完関係であると思っている。顧客からも『見ればみるほどよく考えたね』といった評価を頂けている」(平手社長)

 さらに、大塚社長はDELL EMC World 2016のテーマである「Let the transformation begin」(変革を始めよう)を強調しながら、次のように語る。「DELLとEMCの統合で、それぞれの製品が融合して競争力のある高付加価値の製品が求められていると認識している。こういった統合型製品は今後どんどん進行する見込み。製品面でも期待してほしい」(大塚社長)。

photo デルの平手社長(左)とEMCジャパンの大塚社長(右)

取材協力:デル

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