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Jリーグ、公式ECサイトを楽天に委託 「クラブチームは物販に人員を割けない」

» 2017年04月24日 18時52分 公開
[片渕陽平ITmedia]

 楽天は4月24日、公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)とパートナー契約を結び、同法人が運営するECサイト「Jリーグオンラインストア」を、7月中旬をめどにリニューアルすると発表した。楽天が「楽天市場」などECサイトの運営で培ったノウハウを生かし、商品管理や物流を請け負うことで、クラブチームが物販にかける負担を軽減。Jリーグの全チームがグッズを販売でき、「ファンが気軽にグッズを買える環境を整える」という。

photo Jリーグの村井満チェアマン(左)、楽天の三木谷浩史社長(右)

 Jリーグは、これまでクラブチームを主体に「Jリーグオンラインストア」でグッズを販売してきた。だが、スマートフォンカバー、マグカップなど受注生産型の製品がメインでラインアップが少ない上、全チームのグッズを販売しているわけではなかった。

 新サイトは、J1〜J3の全54クラブチームが商品を販売できるよう、クラブチーム側が楽天に販売を委託。ユーザーへの商品発送や決済手続きを、楽天が引き受ける。商品管理には、楽天の物流倉庫(千葉県市川市)を活用するほか、ユーザーからの要望に対応するカスタマーサポートも請け負う。「どのクラブチームもグッズ販売に取り組んではいるが、物販に割けるスタッフの人員数に限界がある。受注・発送など、負担になる業務を楽天に引き受けてもらう」(Jリーグ)という。

photo 楽天が委託販売

 楽天グループのECサイトからJリーグオンラインストアに送客も行う。「これまで何となくJリーグに興味はあっても、グッズを積極的に購入していなかった潜在顧客を取り込む」という。楽天IDとも連携し、楽天ポイントを貯めたり、楽天ポイントで支払ったりできるようにする。

 楽天、Jリーグ、クラブチームで売り上げをどう配分するかなど、契約の詳細は非公開。売り上げ目標も明らかにせず「まずはファン、サポーターが気軽に買える環境を整えたい」(Jリーグ)という。

photo 楽天のサービスから送客も

村井チェアマン「ECはクラブチームを支える3本柱の1つ」

 「ECはクラブチームをサポートする3本柱の1つ」――Jリーグの村井満チェアマンはそう話す。Jリーグタイトルパートナー(明治安田生命)、放映権を持つパートナー(DAZN)と並び、収益の柱となる物販体制を整備することが、Jリーグの発展につながるとみる。「私たちはECのノウハウを持っていないが、楽天に決済から商品管理、物流、顧客フォローまでを一貫してサポートしてもらい、全クラブチームを支えられる体制を築いていきたい」(村井チェアマン)。

 楽天の三木谷浩史社長は「海外のプロリーグでは、リーグの運営団体が物販を束めることが大きな潮流になっている。そうすることでリーグの集客力につながる」と説明する。楽天は、プロ野球では東北楽天ゴールデンイーグルス、Jリーグではヴィッセル神戸のスポンサーを担うなど「これまでもプロスポーツと深い関わりがある」(三木谷社長)。

 三木谷社長は「楽天の『地域経済をどう活性化させるか』という哲学が、Jリーグとマッチしているので契約が実現した。ユニフォームやグッズなどをファンが身に付ければ、宣伝効果がある“メディア”になる。そうしてJリーグが発展していくのを、一緒に支援していきたい」としている。

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