ITmedia NEWS >
ニュース
2017年06月14日 23時53分 UPDATE

マストドンつまみ食い日記:「鎖国」から生まれた関西広域連合の行方 脱中央集権(東京)の鍵 マストドン会議4

関西のご当地インスタンス座談会は、「連合」の意味を考え直すよい機会だった。

[松尾公也,ITmedia]

 マストドン(Mastodon)を作ったオイゲン・ロチコさんは1つのサーバ、1つの企業にしばられることのない脱中央集権という考え方をよりどころにしている。だからマストドンは好きな人が好きなだけインスタンスを立てられる。何をやるかも自由だ。

 その一方で、日本のインスタンスはmstdn.jp、Pawoo、friends.nicoという、東京をベースにした、標準語(東京方言)で話される巨大インスタンスが中心だ。これではTwitterの二の舞で、東京に埋もれてしまう。

 マストドンではたくさんの地域(ご当地)インスタンスが立てられた。中でも特徴的なのが関西のインスタンス。大阪弁しか許されない大阪丼、意図して閉鎖的な京都「マストどす」、鹿に支配された奈良の「鹿トドン」。これらのインスタンスは近畿地方で「関西広域連合」という名前でまとまっている。暴走族のような名前だが、実は滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、徳島県、京都市、大阪市、堺市、神戸市から構成される自治体による連合体。それにあやかってつけられたようだ。

 4回目となるマストドン会議は場所を大阪に移し、関西インスタンス文化に感銘を受けたというUEIの清水亮社長がモデレーターを名乗り出て、その特異な運営についてつっこんでいった。清水さんの印象はブログにまとめられており、座談会でもそのネタが随所に飛び出した。

 『地域インスタンスが、日本の経済も遊びも活性化する』 関西インスタンス頂上編、そう名付けられたマストドン会議4に参加した関西インスタンス管理人は、Interop、マストドン会議3に続いて参加の大阪丼管理人alarkyさん、京都「マストどす」の女将こと7_nanaさん、鹿トドン管理人の吉村浩嗣さん。

photo 7_nanaさん(左)と吉村浩嗣さん

 マストどすを立ち上げた7_nanaさんはデザイナーが本業で、サーバ管理のスキルは持っていなかった。このため、急激にユーザー数が増えたときにスケールするための方策を持っておらず、しかたなく他のインスタンスとの連携を切ることにした。

 一方、奈良の地域インスタンス「奈良トドン」を立てた吉村さんは、「情緒不安定な鹿」が鹿の「原初」として生まれ、そこからユーザーが次々と鹿化していく現象に見舞われた。ついには鹿が支配する鹿のユートピアに。せんべい「○」を与えると食べたり反芻したりという「文化」も生まれ、ついには名前も「鹿トドン」に改名。さらに、連合しているサーバの負荷が大きくなってきたため、5月9日に鎖国を決定。

 7_nanaさんは、「繋がりっぱなしで増えっぱなしではどこかでつまづく」と不安を覚え、「リモートフォローしたユーザーが画像を投稿したときにサーバが重くなる」といった問題を指摘。これは実際にインスタンスを運営していると実感できることで、自分のところでは特に動きがないのに突然重くなるのはそういうことだ。

 吉村さんは、「連合が速すぎて使い物にならない」状態から脱し、「地域インスタンスの情報が回ってくれたら面白い予感」で行動を開始。ドメインブロックによりいったん鎖国した上でマストどすと大阪丼に「遊びに行って(アカウントを作って)」alarkyさんから「(奈良と大阪を結ぶ)生駒トンネル開通しませんか」と持ちかけられ「開通しましょう」と答えた。

 連合を全体にまで広げるデフォルトのやり方だと地方の特色は薄まってしまう。しかし、「近しい言葉であれば全員が把握できる」。

 参加するインスタンスはさらに増えていき、関西のご当地インスタンスがつながる「関西広域連合」が出来上がった。

 つながることだけが「連合」ではない。「鎖国」という連合とは相反する行為から、コミュニティ自治の姿が見えてくる。そんなことを実感した関西マストドン会議だった。

 なお、マストどすが取った行動は、正確には鎖国ではない。その詳細は、7_nanaさんのブログで説明されている。ドメインブロックではない、きめ細かなコントロールも可能で、ご当地インスタンスのあり方を示してくれるものだ。関西の他のインスタンス紹介もあり、必読だ。

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.