「画質、重さ」の改善については、サービス開発エンジニアの鈴木圭一さんが改めて説明した。
サーバ強化のためのインフラ投資も続けてきたが、(1)動画、生放送の視聴時にブラウザが重い、(2)動画の読み込みが遅い、(3)生放送の配信が断続的に途切れる──といった問題は、動画の高画質化やコメント描画処理などさまざまな問題があり、解決できていないという。
回線に余裕があり、処理が速く、複数の解像度に対応する新配信サーバでは、読み込みの問題は改善できるが、生放送については「ようやく改善できるスタートラインに立ったという認識」(鈴木さん)としている。
改善が遅れている理由には、niconicoのさまざまな基盤として使用されてきたFlashの廃止も大きいという。コメント描画や生放送の受信など基本的な機能が動かなくなるため、「全てをいちから作り直す」ことになってしまった。これまでいろいろな機能をリリースしてきたこともあり、基本機能に絞った開発を心掛けている。そのため、「ニコる」など独自機能が後回しになっているのが実情という。
12月11日にはPC版「ニコニコ動画」で1080p動画のテスト運用を始めた。今後は一般会員も途中から動画視聴できるシークができたり、ログインしなくても動画視聴できるようになったりと、要望の多かった機能を実装していく予定だ。
エンジニア不足で対応が遅れている現状だが、鈴木さんは「みんながニコニコできる場所を作れるよう、全力で開発していく」と意気込む。
後半の意見交換会では、「広告で見にくいランキングを見直してほしい」「時報をやめてほしい」「タイムシフトの視聴期間を延ばして」など、さまざまな要望や意見が流れた。
栗田さんは「基本的にユーザーから要望があったものは優先順位を考えながら検討していく」考えという。ユーザー生放送の入場制限廃止(実質的に追い出しなし)や、スマートフォン視聴時の遅延改善など朗報もあったが、プレミアム会員(月額540円、税込)であることの意味に疑問を持つ声はまだ多い。栗田さんも「プレミアム会員がユーザーの納得するものになっていないことは認識している。見直しと検討をし、1月中に具体的な内容を伝えたい」としている。
今回の生放送で実質的に司会進行を務めた百花繚乱さんは、「ニコ動で人生を大きく変えてもらった」うちの1人。「niconicoの一番の武器はコメント機能ではなく、人だと思っています。期待しています。僕からは運営仕事しろ、のひと言で」と“ニコ厨”ならではの激励をした。
niconicoの新たな運営責任者として、栗田さんは「まずは信頼を積み重ねていく所から。運営とユーザーで一緒にniconicoを作りたい。これからは、ユーザーと共に歩んでいきたい」とした。
トップ交代で11年目に再スタートを切るniconico。番組内で実施した「栗田さんは信用できるか?」と題するアンケートでは、67.3%が「信用できる」と回答。対話重視の新体制でユーザーとの距離をさらに縮めることはできるのか。
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