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Facebook、メンタルへの悪影響を認める研究結果とその対策を発表

» 2017年12月17日 08時22分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 米Facebookは12月15日(現地時間)、Facebookサービスの利用が人間に及ぼす影響についての研究結果とその対策を発表した。

 「ソーシャルメディアに時間を費やすことはわれわれにとって悪か?」と題するこの投稿で、同社の研究者であるデビッド・ギンズバーグ氏とモイラ・バーク氏は、ソーシャルメディアの使用が人間のメンタルに悪影響を及ぼすかどうかは、使い方次第だと説明する。

 social 1

 悪影響を受ける使い方は、ただニュースフィードを読み続け、自分からは投稿したりコメントをつけたりしないことという。ある実験では、Facebookの投稿を10分間読んだグループは、Facebookで投稿したり友達と交流したりしたグループより1日の終わりに気分が良くなかったという(論文のダウンロードは有料)。

 良い影響を受ける使い方は、ソーシャルメディアを人々との交流に活用することという。特に、親しい友だちとメッセージ、投稿、コメントを共有することと、過去の交流について語り合うことが気分の上昇につながるとしている。

 ある調査では、気分が落ち込んだときにFacebookで友達のプロフィールを5分間見るよりも、自分のプロフィールを5分間見る方が自己肯定的になるという結果だった(論文のダウンロードは有料)。自分の投稿だけでなく、友達にタグ付けされた自分の写真や、自分の投稿への友達からの肯定的なコメントを振り返ることが自己肯定につながると研究者はみている。

 Facebookはこうした結果に基づいて、悪影響を減らし、「世界のつながりをより密にする」ことに取り組んでいるという。

 ギンズバーグ氏はその例として、「Facebookでの過去の思い出」機能や企業などのページより友達の投稿を優先表示するアルゴリズム変更コメント欄のデザイン変更自殺防止対策などを挙げた。

 また、新たに2つの機能を追加する。

 「Snooze」は、30日間だけ特定の友達、ページ、グループをニュースフィードで非表示にする機能。関係を解除するのではなく、一時的に非表示にすることで「ニュースフィードをより制御しやすくなる」としている。例えば海外旅行から帰ってきてずっとその話を投稿している友達をスヌーズしたり、あまり関心のないキャンペーンを展開中のページをスヌーズしたりといった使い方ができそうだ。スヌーズするには、投稿の右上にある[・・・]を開き、「30日間○○をスヌーズする」を選ぶ(本稿執筆現在、筆者の環境ではまだこの項目は表示されない)。

 「Take a Break」は、別れた相手と少し距離を置きたい時のためのサポートツール。「交際ステータス」を例えば「既婚」から「離婚」に変更する場合、相手の投稿や相手がタグ付けされた写真をニュースフィードに表示させなくする機能だ。

 social 2 「Take a Break」

 Facebookのメンタルへの悪影響については11月、同社の初代CEOを務めた起業家のショーン・パーカー氏米Axiosの公開インタビューで、Facebookは社会的評価を求める人間心理の“脆弱性”を利用するもので、中毒性があることを創業者(のマーク・ザッカーバーグCEO)も理解していたにもかかわらず、あえてサービスを立ち上げたと批判的に語った。

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