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» 2018年02月06日 17時46分 公開

ヤフーが企業間ビッグデータ連携の実証実験を本格化 19年度の事業化を目指す

ヤフーがビッグデータやAI技術を活用する新規事業構想「DATA FOREST」(データフォレスト)を発表。既に十数社と実証実験を始めており、19年度の事業化を目指す。

[村田朱梨,ITmedia]

 ヤフーは2月6日、ビッグデータやAI技術を活用する新規事業構想「DATA FOREST」(データフォレスト)を発表した。同社のネット検索やECを通じて蓄積したビッグデータに顧客の持つビッグデータを掛け合わせ、例えば商品やサービスを「より生活者のニーズにマッチしたものにする」。既に十数社と実証実験を始めており、19年度の事業化を目指す。

photo データフォレスト構想のイメージ

 ヤフーは今年1月、新執行体制を発表。新社長に就任予定の川邊健太郎副社長は、データフォレスト構想を「『データの会社』を目指す当社の重要な取り組みの1つ」と話す。

 対象は企業や自治体、研究機関など。既に神戸市とは救急対応時の救急車稼働状況の分析、日産自動車とはクルマの販売台数予測の実証実験などを行っており、徐々に成果も出始めているという。

photo 神戸市との取り組み
photo 日産自動車との取り組み

 ヤフーの執行役員でCDO(チーフデータオフィサー)を務める佐々木潔さんは「われわれはユーザーのWeb上の行動――『買うまでのこと』が、事業者様は『実際に買ったかどうか』が分かる。これを組み合わせることで、『Web上でこういう行動をした人が買った』という相関が分かる。Webと実世界は断絶していることも多いが、そこをうまく組み合わせたい」と話す。「個々の企業が単独でデータを使うのではなく、日本全体で日本全体のデータを使えるようなことができれば、日本経済の発展や、全ての人の生活に貢献できるのではないか」(佐々木CDO)

 他にもJリーグデジタルや江崎グリコ、福岡市など、計十数の団体と実験を進めている他、さらなる実証実験参画者の応募も受け付けている

自分のデータ、勝手に使われない?

 こうしたデータの活用は企業にメリットが大きいものの、個人情報漏洩などの危険も付きまとう。佐々木CDOは「安心安全であることが重要」とし「暗号化、セキュリティ対策、ルールの順守、ユーザーの理解などを進めていく」と強調する。

photo 佐々木潔CDO

 「実験段階だけでなく最終的に事業化しても、『データそのものを売買する・やりとりする』ということは考えていない。現状では、統計情報を組み合わせたインサイトをヤフーが分析して渡している」(佐々木CDO)

 しかし、統計情報だけではおおよその傾向しか把握できないため、「今後、個人情報を分析して得られたインサイトを渡す可能性はある」と佐々木さん。その場合も「ユーザーの許諾を得て行う」「データそのものを渡すことはない」とした。

 また、ヤフーではYahoo! IDを使って他社サービスにもログインできる「社外ログイン」を提供しているが、こうした個別に利用許諾を取っているデータを利用する際にも個人情報の利用には説明責任があると考えているという。「利用する場合には、連携企業を通してユーザーに周知する」(佐々木CDO)

 川邊副社長も「(自分のデータが知らないところで使われるといった)活用はない。今後個人情報を利活用する場合には、『ユーザーの同意を得た形で行う』」とし、「ユーザーが『気持ち悪い』『データを使われたくない』というのであれば、いつでも簡便に遮断できる仕組みを提供していく」と説明した。

事業化の目標は19年度

photo 川邊副社長

 データフォレスト構想は、18年度に参画者とともに実証実験を進め、19年度の事業化を目指す。コンサルティング事業などではなくデータソリューション事業として展開し、実証実験でニーズがあると分かったものについてはAPIやツールなどの形での提供を検討するとした。また、実証実験の段階で利益を上げる予定はなく、現在は無償で実験を行っているという。

 「実証実験はたくさん試して、たくさん失敗して、その中に1つか2つ、継続できるものがあればいいと思う。たくさんやっていくことで、後につながるものを実現していきたい」(川邊副社長)

photo 今後の展開

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