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» 2018年04月24日 11時50分 公開

「信頼回復へ」 仮想通貨の「登録」交換業者が新団体、セキュリティ懸念どう対処?

[村田朱梨,ITmedia]

 金融庁の登録を受けた仮想通貨交換業者16社が4月23日、新たな自主規制団体「日本仮想通貨交換業協会」の設立を正式に発表した。利用者が安心して仮想通貨を取引できるように、自主規制規則の策定などを急ぐ。1月下旬、コインチェックから巨額の仮想通貨「NEM」が流出した問題を受け、利用者保護を求める動きやセキュリティ対策を懸念する声がある中、新団体はどのような方針で信頼回復に努めていくのか。

photo 4月23日の協会設立発表会の様子

セキュリティは「従来の自主規制よりも細かい基準を作るべき」

 新団体の副会長に選任されたbitFlyerの加納裕三社長は「セキュリティ対策は大きく分けて2つ――SSLやファイアウォールをどうするかといった従来のインターネットセキュリティの基準と、ブロックチェーン技術ならではの基準がある」と話す。

photo bitFlyerの加納裕三社長

 ブロックチェーンならではの問題として、コインチェックの流出問題でも指摘された「秘密鍵の管理」がある。「クレジットカードの場合は鍵が盗まれてもサーバサイドで無効にできるが、仮想通貨の場合、秘密鍵が漏れてもそれはできない」(加納氏)。

 協会は、こうした点でセキュリティの専門家と議論を重ねているという。加盟企業へ求めるセキュリティ基準には、ブロックチェーンの秘密鍵をネットワークから隔離して保管する「コールドウォレット」や仮想通貨の送金時に複数の署名を必要とする「マルチシグ」の導入などを盛り込む考えだ。

 「従来の自主規制よりも細かい基準を作るべきと考えている。鍵管理の方式や管理体制にも踏み込んでいく必要があるのではないか。新しいセキュリティ技術を排除してしまわないよう気を付け、基準を定めていきたい。コールドウォレットの運用基準を定めた海外のCCSS(Crypto-currency Security Standard)なども参考にする」(加納氏)

 協会の会長を務めるマネーパートナーズの奥山泰全社長は「セキュリティ面ももちろんだが、システム障害が起きないようにするなど、利用者に負担をかけないよう協会で議論しながら一定のルールを定める必要がある」と話す。

photo マネーパートナーズの奥山泰全社長

 有識者の協力を得ながら、内部管理体制の整備や、仮想通貨取引ルール、広告ガイドラインなども早急に策定を進める考えだ。「健全な市場の発展に向け、消費者目線に立ってわれわれができることを進めたい」(奥山氏)

 また、協会は資金決済法(第87条)に基づく「認定自主規制協会」を目指す。認定団体となれば、加盟企業に強制力を持った自主規制を行えるが、奥山氏は「1〜2カ月以内の認定取得は難しいと考えている」という。既に認定を受けている他業界の団体にも意見を聞くなどして、必要な体制や人員を検討しており、体制整備や人員確保はこれから進めるとしている。

“みなし業者”をどう扱う?

 協会を設立した16社は、全て金融庁から仮想通貨交換業者として登録(※)を受けており、登録申請中の“みなし業者”は含まれない。

(※)金融庁は2017年4月施行の改正資金決済法で、仮想通貨取引所を登録制とした。それ以前に事業を始めていた業者については登録期間を6カ月間猶予し、報告書の提出状況などに応じて延長している(関連記事)。

 奥山氏は「登録業者を正会員にするので、みなし業者を正会員とするかについては議論するが、迅速に受け入れられる状況を作りたい」と話す。

 登録を申請中の業者には、協会が助言を行い、登録のタイミングで協会に加盟してもらうといったことを考えている。協会としては「登録を受ける水準に見合った会社が協会に参加してもらえることが、仮想通貨業界の今後の助けになる」(奥山氏)という。

 「16社だけでは当局に認めてもらえる自主規制団体としての予算感、コスト感をまかないきれない。協会としては、より多くの登録業者が出てくることを願っている」(奥山氏)

photo 発表会にはテックビューロを除く15社の代表者が出席

 協会を設立したのは、マネーパートナーズ、QUOINE、bitFlyer、ビットバンク、SBI バーチャル・カレンシーズ、GMOコイン、ビットトレード、BTCボックス、ビットポイントジャパン、DMM Bitcoin、ビットアルゴ取引所、エフ・ティ・ティ、BITOCEAN、フィスコ仮想通貨取引所、テックビューロ、Xthetaの16社。3月2日に団体設立の合意を発表し、同29日に協会を設立した。

 4月23日には、各社の代表を集めて設立後初めての臨時社員総会を開き、5人の理事――マネーパートナーズの奥山社長、bitFlyerの加納社長、ビットバンクの廣末紀之社長、SBI バーチャル・カレンシーズの北尾吉孝社長、GMOコインの石村富隆社長を選出。その後の第1回理事会で、会長に奥山氏、副会長に加納氏と廣末氏を選任した。

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