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» 2018年05月11日 06時00分 公開

漫画家・赤松健さんに聞いた、「海賊版サイトをつぶす唯一の方法」 (3/3)

[村上万純,ITmedia]
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育成は出版社、流通はWeb・アプリ漫画会社

―― 先ほどの全国出版協会の発表では、17年のコミック市場は電子が紙の売り上げを上回るなど、業界も過渡期を迎えている。最近はWebや漫画アプリ出身の漫画家も増えてきたが、業界自体の変化をどう感じているか。

電子 17年のコミック市場は電子が紙の売り上げを上回った(全国出版協会より)

 従来の出版社とWeb漫画会社でそれぞれ特徴がある。作家の育成機能は出版社が強い。今では即戦力を求める傾向があるが、紆余曲折を経て連載にたどり着いたり、徐々にステップアップしたりという経験はWeb漫画ではなかなかできない。

 逆に、Web漫画会社はどうすれば漫画がさらに読まれるかの手法を研究するのが得意。「どの表紙が一番読まれたか」「どこに広告を置けばいいのか」などを分析している。アプリストアランキングでは、「LINEマンガ」や「ピッコマ」など韓国資本の漫画アプリが人気だが、売り方がうまいのでそこは見習うべき。出版社は今までの見せ方に固執している所がある。

LINE 漫画アプリとしてはアプリストアランキングで上位に入るLINEマンガ

 Web漫画や漫画アプリ会社は流通や宣伝を支援するエージェントに近いかもしれない。新人作家は出版社でしっかり育ててもらい、自分でしっかり作品を描ける人はWeb会社を頼るといいだろう。自己プロデュース能力の高い作家もいるが、そうでない人がほとんどなのでエージェントは需要があるはず。出版社とWeb漫画会社が組むと良いだろうが、お互いの作品を抱えているのでそれも難しそうだ。

―― 赤松さん自身は、今後マンガ図書館Zを通してどんな活動をしていきたいか。

 私はアーカイブ主義なので、全ての作品をアーカイブして、全ての作品を検索対象にしたい。一冊漏れなく、古い作品もデータ化して後世に正しく伝えたい。原作者に許可を取って、二次創作同人誌やコミケの見本誌なんかも全て保存したい。コミケの見本誌なんかは大きな倉庫に保存されているが、突然施設が使えなくなって一気に処分なんてことになると泣くに泣けない。

 直近では、今月リリース予定の出版社との実証実験で良い結果を出し、他の出版社でも横展開できれば。これまで育ててもらった出版社や編集者、コミックを買ってくれた読者への恩返しをしたいので、これからも漫画業界のために活動を続けていく。

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