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» 2018年05月23日 08時00分 公開

コンピュータで“錯視”の謎に迫る:同じ画像なのに違う絵が見える 不思議な「スーパーハイブリッド画像」とは? (1/3)

早稲田大学・新井仁之教授が解説する錯視の世界。第9回では、顔を近づけたり離したりすると見える文字が変わる、不思議な「スーパーハイブリッド画像」を紹介します。

[新井仁之,ITmedia]

 1枚の画像なのに、遠くから見たとき、やや近くから見たとき、そして、より近くから見たときで違ったものがみえる──そんな不思議な「スーパーハイブリッド画像」について紹介します。まずは次の画像をご覧ください。

photo 図1 スーパーハイブリッド画像「とまれ」(新井仁之・新井しのぶ、2012)

 画像を写した画面を固定して、かなり離れたところから見ると「と」が見えます。しかし画面に近づいていくと「ま」が現れ、さらに近づいていくと「れ」の文字が見えてきます。移動するスペースが確保しづらい方は、拡大縮小することで離れたり近づいたりしたときの見え方を再現した次の画像をご覧ください。

photo (タップで拡大)

 左上の小さい画像は、遠くから見たときに相当するもので「と」が見えます。右上の少し大きめの画像は、やや近づいたときで「ま」が現れます。そして下の大きな画像は、より近づいたときに見える画像で「れ」が見えるはずです。さらに顔を近づけるか、拡大するとより鮮明に「れ」が見えるでしょう(注1・見え方は画像の表示サイズの他、見る人の視力にも依存します)。

連載:コンピュータで“錯視”の謎に迫る

あなたが今見ているものは、脳がだまされて見えているだけかも……。この連載では、数学やコンピュータの技術を使って目に錯覚を起こしたり、錯覚を取り除いたり──。テクノロジーでひもとく不思議な「錯視」の世界をご紹介します。


ハイブリッド画像とスーパーハイブリッド画像

 この不思議なスーパーハイブリッド画像は「ハイブリッド画像」と呼ばれるものを改良したものです。ハイブリッド画像は2006年に米マサチューセッツ工科大学のオリバ氏、トッラルバ氏、そして英グラスゴー大学のシンス氏らが発表した、ある種の錯視画像です。1つの画像でありながら、遠くから見たときと近くから見たときで異なる2つの画像が見えるというもの。オリバ氏らが作成したハイブリッド画像作品はこちらのWebサイトでご覧になれます。この中では特に、近くから見るとアインシュタイン、遠くから見るとマリリン・モンローに見える「マリリン・アインシュタイン」が有名です。

 これに対して、12年に筆者と新井しのぶが作成したスーパーハイブリッド画像は、「遠く」「やや近く」「近く」で異なる3つの画像が見える三層構造になっています。

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