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» 2018年07月10日 16時02分 公開

人文社会科学の学生も“AIを使いこなす人材”に 関西学院大、日本IBMとプログラム開講

関西学院大学と日本IBMが、AIを“使いこなす”人材を育てるプログラムを、2019年4月から同大学の生徒向けに開講する。

[村田朱梨,ITmedia]

 関西学院大学と日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は7月10日、AI(人工知能)を“使いこなす”人材を育てるプログラムを、2019年4月に同大学で開講すると発表した。文系・理系を問わず、全学部生が履修可能な10科目を新設。AIやデータサイエンス関連の知識を持ち、企業が抱える問題を解決できる「AI活用人材」の育成に取り組む。同大学の村田治学長は「AIの発達でなくなる仕事があるというが、当然新しい仕事も生まれている。AIを使いこなす人材が必要だ」と話す。

photo 関西学院大学と日本IBMの共同プロジェクト
photo プログラムの特長

 AI技術を活用したサービスを利用し、ビジネス上の課題を解決する「AIユーザー」と、そうしたAIユーザーに対し、AI技術を活用したサービスを提供する「AIスペシャリスト」の育成を目指す。プログラムは、新設する10科目20単位で構成し、基礎知識の定着を図る入門から、アプリケーションの実装を行う演習まで用意する。

photo カリキュラム
photo 各科目での到達目標

 プログラムを通じ、(1)AIの知識を持ち、アプリケーション開発に生かせる「AIスキル」、(2)プログラミングやプロジェクトを管理する能力「ITスキル」、(3)データ分析に必要な統計解析や情報処理などの「データサイエンススキル」、(4)ビジネス現場で求められるコミュニケーション能力や論理的思考力などの「ビジネススキル」を体系的に学べるという。

photo AI活用人材に必要なスキル
photo AI活用人材に求められるスキルレベル

 3年間で、日本IBMの入社1〜6年目社員相当のスキルを持つ人材を育てる。19年度の入学生からは50〜100人程度の人材を輩出。今後さらに拡大させる計画だ。

 村田学長は「IT革命と言われるようになって久しいが、それでも日本の労働生産性が上がらないのは、組織や人材育成が成長していないからだ。人と組織が変わらない限り、生産性は変わらない」と話す。

 「データサイエンティストなどの育成は重要だが、それとは別に人文社会科学を学んでいる学生も、AIを理解できていることが重要ではないか。『企業がAIを実装する時、使いこなせる人材』を作るという、1番遅れている部分を、高等教育が担うことが重要だ」(村田学長)

キャリア相談にチャットbotを導入

 同大学は、IBM Watsonを活用し、学生の就職活動やキャリアの相談を受け付けるチャットbotサービスも導入した。学生は、メッセージアプリ「LINE」に似たチャット形式のインタフェースで質問が行える。同大学のキャリアセンターで受け付けた3年分の問い合わせデータ(約1万7000件/年)を、AIが学習する教師データとして利用し、「ちゃうねん」「ちゃうで」といった関西弁にも対応する。問い合わせに対し、約80%には正しく回答できたという。

photo チャットbotのイメージ

 日本IBMの石田秀樹氏(グローバル・ビジネス・サービス事業本部パートナー)は「導入から約1週間がたち、利用者の内訳を見てみると、今までキャリアセンターを利用していない人や一度も面談に来たことがない人が8割を占めていた。夜間の問い合わせも多く、忙しくて面談に行けないといった問題や、対面の相談で感じる煩わしさや恥ずかしさを解決できるサービスを提供できているのではないか」と話す。

 チャットbotの開発には、キャリアセンターの職員が協力。チャットbotの運用方法を学んだ職員が、最新情報の追加などのチューニングを行うという。

photo 左から関西学院大学の巳波弘佳学長補佐、村田治学長、日本IBMの山口明夫氏(取締役専務執行役員)と石田秀樹氏(グローバル・ビジネス・サービス事業本部パートナー)

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