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AIとドローンで在庫管理、シフト表を自動作成 知られざる小売業界のAI活用術よくわかる人工知能の基礎知識(2/4 ページ)

» 2020年02月05日 07時00分 公開
[小林啓倫ITmedia]

AIとドローンを使った在庫管理も

 顧客対応以外の領域でも、AIの活用は進んでいる。

 スウェーデンのアパレルメーカーH&M(Hennes & Mauritz)は、18年にAI部門を設立し、社内のAI導入を推進している。前述のようなチャットbotも既に開発されているのだが、ここではサプライチェーン領域での活用を紹介しよう。

 物理的なモノを扱う小売業者にとって、在庫管理は最終的な利益に直接影響する業務だ。また近年は、環境問題に対する消費者の意識の高まりから、大量生産・大量廃棄というビジネスモデルを続けることが難しくなっている。

 そこでH&Mでは、AIに実店舗での商品の購入・返品傾向を分析させることで、商品の仕入れに関する人間の担当者の意思決定をサポートしている。SNSや顧客データなどに基づいたトレンド予測もさせて、商品の生産・流通量の検討に役立てているという。

 過去データに基づく将来予測はAIの得意領域の一つであり、同様のAI活用を進める小売・サービス業者は数多く存在している。H&Mのように、非テクノロジー企業でありながら独立したAI部門を立ち上げることは、珍しいことではなくなるだろう。

 在庫管理という観点では、よりユニークなAI活用事例も登場している。画像認識技術を使って、より短時間かつ安全に在庫を把握する取り組みだ。

 これはメーカーの例になってしまうが、化粧品大手の仏L'Orealグループでは、サプライチェーン関連サービスを開発する仏Hardis Groupと協力し、ドローンと画像認識技術を組み合わせた在庫管理を行っている。

ドローンで在庫管理(YouTubeより

 映像からも分かるように、発想は至ってシンプルだ。今まで人間が目視していた在庫管理を、ドローンを使ってチェックする方式に変えたのだ。ドローンは自律飛行するため、人間が操縦する必要はない。

 これによりL'Orealは、在庫管理の時間を短縮でき、深夜・休日のデータも取得できるようになった。その結果、サプライチェーンが効率化され、顧客満足度の観点からもオペレーションを改善できたとしている。

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