コンセントの交換だけで実現可能、認証型コンセントで作るHEMSエネルギー管理(1/2 ページ)

住宅で消費する電力量を管理するHEMSが普及の兆しを見せている。その多くは分電盤を流れる電力量を測定する仕組みになっている。これに対してソニーは、「認証型コンセント」を利用して、まったく違う形のHEMSを作ろうとしている。

» 2012年04月04日 08時00分 公開
[笹田仁,ITmedia]

 ソニーが2012年2月に公開した「認証型コンセント」は、電力消費量削減を狙った技術の中でも、「コンセント」に着目した点でユニークな技術だ。この技術を応用すると、既存のコンセントを認証型コンセントに取り替えるだけで住宅向けエネルギー管理システム(HEMS:Home Energy Management System)を構築できる、とソニーの担当者は語る。

 現在、各メーカーが販売しているHEMSを使うには、分電盤から電力消費量を読み取る機器を取り付けなければならない。その機器と専用のデータ表示用パネルを接続するなどの配線工事も必要になる。機器自体の価格も、まだ安価ではない。認証型コンセントに取り替えるだけでHEMSを構築できるのなら、HEMSの導入コストが大幅に下がることが期待できる。

おサイフケータイの技術を利用して認証

 認証型コンセントは、コンセントに接続した電源プラグを識別し、どういう機器がつながっているのか、誰がコンセントを使っているのか、を把握する。設定次第で、特定の機器や人にだけ電力を供給する制御も可能だ。

 人や機器に優先順位を付け、非常時には優先順位が低い部分の電力供給を止めることもできる。夏の電力需要がピークになる時間帯などでは、止めることのできない重要な機器のために電力を確保しなければならない事態も予想できる。このような用途に、認証型コンセントが応用できそうだ。

 認証には、電子マネーのカードや、おサイフケータイで実績があるICカード技術「FeliCa」を利用する。おサイフケータイと同様に、Felica専用チップを内蔵した機器との間でデータをやりとりする。認証型コンセントにはFeliCaチップのデータを読み出すリーダーが組み込まれており、電源プラグがFeliCaチップを内蔵していれば、チップのデータを読み出すことで認証が可能になる。

認証できた機器にだけ電気を流す

 認証型コンセントが動作する様子を見ていただこう。図1の窓枠に据え付けてあるのが認証型コンセントだ。認証を受ける機能を持たない電源プラグを接続しているので、コンセントは電気を流さず、電気スタンドは点灯していない。

Before 図1 電気スタンドの電源プラグを、認証型コンセントに直接接続したところ。コンセントは電源プラグを認証できないので、電気を流さない。画像をクリックすると拡大

 一方、図2では、FeliCaチップを内蔵したアダプタを介して、電気スタンドの電源プラグを認証型コンセントにつなぐ。そうすると、図3のように電気スタンドが点灯する。認証型コンセントがアダプタを認証して、電気を流したからだ。

Adapter 図2 認証機能を持つアダプタ。画像をクリックすると拡大
After 図3 認証型コンセントにアダプタを介して電気スタンドを接続したところ。アダプタが認証を受け、電気が流れている。画像をクリックすると拡大

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