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» 2012年04月25日 10時18分 UPDATE

連載/電力を安く使うための基礎知識(2):節電を1台でこなす、デマンドコントローラ

企業が電力会社に支払う電気料金は、30分ごとに計測される電力使用量の最大値によって変動する。その最大値を抑えるための装置が「デマンドコントローラ」で、電気料金を引き下げるための有効な手段として注目を集めている。

[石田雅也,スマートジャパン]

連載(1):「料金計算の仕組みが分かれば、電気代をスマートに削減できる」

 本連載の第1回では、電気料金の基本的な仕組みを説明するとともに、電力会社が提供する料金メニューを見ながら、電気代を下げるためのポイントを解説した。単に電力の使用量を減らすだけではコスト削減策として不十分で、電力使用量の最大値(ピーク)を抑えることが極めて重要になる。ピークを制御する装置として、一般的に使われているのが「デマンドコントローラ」である。

ALT 図1 デマンドコントローラの外観。小型の製品は横幅20cm程度、重さも1kg程度。出典:大崎電気工業

 通常のデマンドコントローラは図1のような形状をしており、現状の電力使用量のほかに、月間のピークの実績値と目標値、さらに年間のピークの実績値と目標値などを表示することができる。

 あらかじめ設定した目標値を超えそうな状況になる(一定比率を超える)と、警報ランプが点灯したり、あるいは事前に決められた優先順位に基づいて電気機器に電力を送ることを止めたりする機能を備えている。

デマンドコントローラで30分単位のピークを制御

 前回に説明したように、「高圧」と呼ばれる企業向けの電力契約では、電力量計(電力メーター)によって30分単位に測定されたピークで基本料金が決まる。契約電力が小さい「高圧小口」(50kW以上500kW未満)では、直近1年間のピークが基本料金の基準になるため、30分間だけでも過大な電力を使ってしまうと、それをベースにした高い基本料金を払い続けなければならない(図2)。

ALT 図2 企業向けの基本料金は直近1年間のピークで決まる(契約電力が50kW以上500kW未満の場合)。出典:東京電力

 一方、より契約電力が大きい「高圧大口」や「特別高圧」など規模の大きいビルや工場向けの場合には、電力会社との契約で「最大需要電力」と呼ぶ使用量のピークを決める必要がある。そのピークを超えて電力を使うと「契約超過金」をとられることになっていて、超過した電力に対して1.5倍の電気代が徴収される。

 いずれの場合も、毎日のピークを30分単位で抑制することが、毎月の電気代と年間の電気代を大幅に下げることにつながる(図3、図4)。

ALT 図3 デマンドコントローラで毎月ピークの目標値を超えないようにすれば、より低い基本料金を継続することができる。出典:東京電力
ALT 図4 ピークは毎日30分単位で測定されるため、常に30分単位で目標値を超えないようにする必要がある。出典:東京電力

導入コストは平均100万から150万円程度

 では実際にデマンドコントローラを導入すると、どのくらいのコストがかかるのだろうか。小型のデマンドコントローラであれば、本体は20万円から30万円程度で購入することができる。ただし電力量計や各種の電気機器(照明、空調など)との接続工事が必要になるため(図5)、その工事費を見込んでおかなくてはならない。接続する電気機器の数にもよるが、工事費を含めた導入コストは安い場合で50万円程度、通常は100万円から150万円程度かかると言われている。

ALT 図5 デマンドコントローラの設置形態。出典:東京電力

 これだけのコスト負担に見合う電気料金を削減できるかどうかは、現状の電力使用傾向をもとに、デマンドコントローラの販売会社や電気工事会社から見積もりを出してもらって判断するのが一般的である。

 デマンドコントローラを扱う会社の中には「ESCO(Energy Service COmpany」と呼ぶ形態のサービスを提供しているところもあり、実際に削減できた電気料金をもとに成功報酬型で費用を決める方式をとる。ESCOの場合は初期導入コストを低く抑えることができる半面、電気料金の削減効果が小さくなる。

 最近はデマンドコントローラでオフィスや工場全体のピークを抑えるだけではなく、電気機器ごとの電力使用量を“見える化”して、より緻密な節電対策を実施する取り組みも広がりつつある。いわゆるBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)を使った節電対策だ。次回はデマンドコントローラを組み込んだBEMSについて解説する。

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連載(3):「節電対策の主役に急浮上、BEMSの費用対効果を検証」

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