省エネ照明のもう1つの選択肢、「CCFL」の実力省エネ機器(1/2 ページ)

消費電力量節減のために、LED照明を導入した人、あるいは導入を検討している人は多いだろう。LED照明の消費電力量は確かに少ない。しかし、省エネ照明の選択肢はLED照明だけではない。最近は、「CCFL」という種類の蛍光管が注目を集めつつある。

» 2012年05月22日 20時27分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 5月初旬に、日本郵船が自動車運搬専用の大型貨物船「PYXIS LEADER」に省エネ照明を導入したニュースをお伝えした。この時に日本郵船が選んだのは、オプトロムが販売する「E・COOL」と呼ぶ製品だ(図1)。

E COOL 図1 オプトロムが販売するCCFL照明「E・COOL」。ストローのような細長い管がCCFL。これを2本備えている(出典・オプトロム)

 オプトロムのE・COOLは「CCFL(冷陰極蛍光管:Cold Cathode Fluorescent Lamp)」という種類の蛍光管を利用している。CCFLの歴史は長く、液晶ディスプレイのバックライトなどの用途で多く使われている。実績がある「枯れた」技術だ。

 オプトロムはCCFLを活用して、「消費電力を削減し、ランプの寿命を伸ばしながら、蛍光灯と変わらない光を提供する」照明器具を提供している。導入コストも工事費込みで10,000円程度と、さほど高価なものではない。以下では、CCFLと従来の蛍光灯の違いや、蛍光灯と変わらない光を実現するための工夫について解説する。

反射光の利用など、工夫を重ねて消費電力量を削減

 E・COOLの最大の特長は、消費電力量が少ないという点だ。40形の直管形蛍光灯に相当する大きさのE・COOLは27Wを消費する。一般的な直管形LED照明と同レベルだ。同社は一般的な40形の直管形蛍光灯と、蛍光灯を使うために必要な安定器が消費する電力を合計すると45Wになると試算している。E・COOLはこれに比べると消費電力量がおよそ40%少ないという計算になる。

 しかし、CCFLは一般的な蛍光灯と比べると効率が悪いといわれている。蛍光灯と同じ明るさのCCFLを作ろうとすると、余計に電力を消費するということだ。

 オプトロムはE・COOLに消費電力も発光量も少ないCCFLを採用して、消費電力量を節減している。しかし、これだけでは消費電力量は少ないが暗い照明になってしまう。そこでCCFLの特長を生かし、さまざまな工夫を盛り込むことで、蛍光灯と同じレベルの明るさを実現した。続いて、この点について解説する。

蛍光灯と同じように、側面全体が発光する

 CCFLには、蛍光灯と同じように側面全体が発光するという特長もある(図2)。E・COOLは側面全体が光るというCCFLの特長を生かして、蛍光灯と変わらない明るさを実現している。CCFL管の背後に反射率が高い反射板を配置して、CCFLの背面が発する光を反射させて利用するなどの工夫を重ねて蛍光灯と同レベルの明るさを達成したのだ。

 側面全体が発光するという特長は、裏返すとLED照明の欠点となる。LED照明も光が広がるようになってきているが、内部にあるLED素子が発する光は1つの方向に直進する性質を持つ。LED照明を作るメーカーは、LED素子の配置を工夫して、光が広がるようにしているのだ。しかし、LED照明の中でも安価なものを見ると、光が狭い範囲しか照らさないものもある。

Difference 図2 LED素子とCCFLの光の広がり方の違い。LED素子(左)の光は1つの方向に直進する。一方、CCFLは側面全体が光を放つ(出典・オプトロム)

 図1を見ても分かるように、E・COOLは内蔵するCCFLの側面まで透明のカバーで覆っている。CCFLの光を横にも広げるためだ。反射板を使うなどの工夫を凝らした結果、E・COOLは照明の下側170度の範囲で1900lm(ルーメン)の明るさを確保している。これは一般的な蛍光灯と同レベルだという。

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