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» 2012年08月10日 18時31分 UPDATE

BEMS製品解説(7):細かい単位で消費電力量を計測し、節電対策を立てやすくする

BEMSアグリゲータ幹事会社が提供するシステムについて解説する特集の第7回。今回はNECが提供するシステム「Butics-Es」を紹介する。このシステムはビル全体だけでなく、さまざまな種類の機器の消費電力を計測し、グラフなどの形でデータをユーザーに提示し、無駄を見つけやすくなている。空調機器を単純に止めるだけでなく温度設定変更など、自由に機器を制御できる点も特長だ。

[笹田仁,スマートジャパン]
NEC_Butics_1.jpg 図1 NECが提供するBEMS「Butics-Es」の主な仕様。需要逼迫時の自動制御を受け入れると補助率は1/2となり、受け入れないと1/3となる

 NECの「Butics-Es(ビューティクス イーエス)」は、契約電力が100kWのビルを対象としている。同社によれば、BEMS補助金の支給対象である契約電力が500kWまでのビルに限らず、もっと大きなビルでも十分利用できるシステムだという(図1)。

 デマンド値(消費電力量の目標値)を超えないように空調機器と照明機器を制御する機能と、消費電力を計測して、そのデータをさまざまな形でユーザーに見せる機能が主な機能となる。

 他のアグリゲータが提供するBEMSでは、ビル全体の消費電力量に加えて、空調機器の消費電力を計測するものが多い。照明機器の消費電力を計測するものもいくつかある。

 Butics-Esはなるべく細かく消費電力量を計測し、消費電力量を用途別に集計してグラフの形で表示することで、ユーザーが無駄に電力を消費している部分を見つけやすくすることを狙っている。そのため、同社ではButics-Esを導入する際にはビル全体(主幹)のほかに、分電盤の少なくとも9つの回路に電力センサーを取り付けてそれぞれ電力消費量を計測できるようにすることを推奨している。

 例えば、空調機器と照明機器だけでなく、オフィスのフロアにあるコンセントで消費する電力量を計測するようにすれば、パソコンやディスプレイなど、コンピュータ関連機器が消費している電力量をある程度見積もれる。運用方法を決めて、コンピュータ関連機器が利用するコンセントを固定すれば、より正確にコンピュータ関連機器の消費電力量を計測できる。さらに、コンセントで消費する電力量をフロアごとに別々に計測するようにすれば、フロアごとの違いが分かる。

 このように、管理者に消費電力の量だけでなく、用途も細かく分かるように提示することで、管理者は無駄を見付けやすくなり、節電対策を次々に打ち出せるようになる。Butics-Esは、節電対策の立案を手助けするという側面を持っていると言えるだろう。

 さらに、ビルの利用者向けに節電を意識させる機能もある。「消費電力インジケータ」というものだ(図2)。これは任意のWebページに貼り付けられるパーツになっており、現時点の消費電力と目標に対する使用率、ほかの拠点の消費電力と使用率などをコンパクトにまとめたものだ。

NEC_Butics_2.jpg 図2 任意のWebページに貼り付けられる消費電力インジケータ。他の拠点の情報も表示することで、競争心をあおる効果も期待できる

 例えば、社内の情報が集まる社内ポータルに貼り付ければ、ほぼすべての社員が消費電力量の現状を目にすることになる。企業の上層部も目にすることになるので、節電担当者は自分が管理する拠点の成績を常に意識するようになる。その結果、ビルで活動する人間すべてに節電を強く訴えかけるようになると期待できるという。さらに最近の改修で、消費した電力を電気代の形で消費電力インジケータに表示するようにした。電力量よりも金銭でデータを突きつけられると、人間はより強く気にするようになると考えられる。

 計測したデータは日本IBMが管理するデータセンターに送信する。データセンターでは受け取ったデータを集計、分析し、グラフなどの形で確認できるようにする。確認するには、データセンターにWebブラウザでアクセスすればよい。ただし、消費電力インジケータは各ビルに設置する「見える化サーバ」が集計している情報を表示するようになっているという。

 デマンド値に近づいてきた時の制御手法は、空調機器と照明機器の制御となる。事前に指定しておいた空調機器を停止させる、あるいは空調機器を輪番で停止させるといった手法を採るシステムが多いが、Butics-Esの場合は空調機器を利用可能なあらゆる方法で制御するという。可能ならば設定温度の上げ下げにも対応するという。

 制御する機器はButics-Es導入前に現場を調査して、ユーザーと話し合って決めるという。さらに制御する機器に順位を付け、デマンド値に近づいてきたら順に制御していくようにしている。デマンドは30分単位で評価し、ある機器に制御がかかったら、次の30分で消費電力量が一定の値まで落ちていれば制御を解除する。

 制御をかけるしきい値の設定方法にも特徴がある。図3のように、契約値(契約電力)、限界値、目標値という3つの値を設定する。限界値は契約値より低く、目標値は限界値より低く設定する。機器に制御がかかるのは限界値を超えたときになる。

NEC_Butics_3.jpg 図3 契約値、限界値、目標値を決める画面

 電力供給量が不足しそうという連絡がデータセンターに入ったら、デンターセンターからBEMSに自動的に連絡が届き、より多くの空調機器、照明機器を制御して、消費電力量を抑える。需要逼迫時に制御する機器も、導入前の話し合いで決める。「ここまで制御すれば消費電力を10%下げられる」という範囲を制御範囲とする。この自動制御を受け入れると、BEMS導入時に受け取れる補助金の補助率が1/2になる。自動制御を拒否して、手動での制御を選ぶと補助率は1/3になる。

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