東京都は2012年10月に条例を改正し、都の交通局が保有する水力発電所による電力の売却先を、一般入札で決めることにした。都は東京電力との電力供給契約を解消するために東京電力と協議を続けてきたが、東京電力は契約解消の条件として50億円を要求してきた。
東京都の猪瀬直樹副知事は記者会見で、東京電力への電力供給契約を解消しようと4月から話し合いを続けてきたが、東京電力が契約解消の条件として50億円の支払いを求めてきたことを明らかにした上で、この要求を「法外なものであり、毅然として拒否する」と一蹴した。
現在交わしている契約では、東京都の交通局が保有している3つの水力発電所(図1)が発電する電力を「かなり安く(猪瀬副知事)」東京電力に売電している。これは、契約締結時に東京都の条例が東京電力以外の企業への売電を許していなかったからだ。
しかし東京都は2012年10月の都議会で条例を改正し、水力発電所の電力供給先を入札で決めることと、入札には「電気事業者」ならばどの事業者でも参加できるということを決めた。特定規模電気事業者(新電力)などにも、入札参加のチャンスを与えることを狙ったものだ。しかし条例改正が済んだとはいえ、入札を開催するには現在契約を結んでいる東京電力との契約を解消する必要がある。
猪瀬副知事はこの条例改正を「国の電力システム改革に先駆けて、東京都ができること」とし、50億円という要求を「法外なものであり、毅然として拒否する」と語った。また、「このような要求が来るということは、東京電力の構造改革が進んでいないことを表している」と批判した。
期限がまだ切れていない契約を解消するのだから、東京都も何らかの形で東京電力に補償しなければならないだろうが、50億円もの金額を要求するのは常識外れというものだろう。東京都は東京電力の大株主でもある。猪瀬副知事は「株主として、構造改革に決着を付けなければならない」と強く語った。
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