太陽光パネルの重量を半分に、新開発のアクリル樹脂を利用蓄電・発電機器

太陽光発電パネルは決して軽くはない。すでに建っている住宅の屋根や、倉庫の屋根に設置しようとすると、屋根の補強が必要になることが多い。産業技術総合研究所は太陽光発電パネルの表面に貼ってあるガラスに代わる素材を開発し、パネルの重量を半減することに成功した。

» 2012年12月06日 11時00分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 一般的な太陽光発電パネルの表面には、厚さ3mm程度のガラスが貼ってある。発電部分を保護するための措置だが、このガラスが太陽光発電パネルの総重量のうち大部分を占めている。つまり、太陽光発電パネルが重いのではなく、表面に張ってあるガラスが重いのだ。

 そこで産業技術総合研究所は三菱レイヨンと共同研究を始め、太陽光発電パネルの表面保護に使える厚さおよそ2mmのアクリル樹脂を開発した。このアクリル樹脂を利用すると、太陽光発電パネルの重量をほぼ半分に減らせる。素材は異なるが、ガラスと比べて通す光の質はほとんど変わらない、つまり発電能力への悪影響はないということだ。

 このアクリル樹脂の効果をアピールするために、産業技術総合研究所は従来の太陽光発電パネルと、新開発のアクリル樹脂を貼った太陽光発電パネルの重さが一目で分かる展示セットを用意した。

図1 産業技術総合研究所が用意した展示セット。従来の太陽光発電パネルと新開発のアクリル樹脂を貼った太陽光パネルの重さの違いが一目で分かるようになっている

 産業技術総合研究所によると、新開発のアクリル樹脂はすでに実用に耐えるレベルに達しており、太陽光発電パネルのメーカーが採用してくれるのを待っているという。2013年には、太陽光発電パネルの重さが大きく変わるかもしれない。

 新開発のアクリル樹脂を貼った太陽光発電パネルは12月7日まで幕張メッセで開催している「PVJapan 2012」で見ることができる。

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