連載
» 2013年02月07日 09時00分 UPDATE

日本列島エネルギー改造計画(34)広島:中国山地の資源を再利用、廃棄物でバイオマスエネルギー

中国地方で最大の面積をもつ広島県は北に中国山地、南に瀬戸内海があって、さまざまな資源に恵まれている。再生可能エネルギーの取り組みも太陽光・太陽熱から小水力発電まで幅広い。その中で最も有望なのがバイオマスで、木質や廃棄物を利用したプロジェクトが各地で進む。

[石田雅也,スマートジャパン]

 広島県の再生可能エネルギーの導入量を見ると、最も多いのは太陽熱、次いで小水力、太陽光、バイオマスの順になる(図1)。家庭を中心に太陽熱を利用した温水器が普及していて、瀬戸内海に面した温暖な地域ならではの状況である。

ranking_hiroshima.jpg 図1 広島県の再生可能エネルギー供給量(2010年3月時点)。出典:千葉大学倉阪研究室と環境エネルギー政策研究所による「永続地帯2011年版報告書」

 最近ではメガソーラーの建設計画も増えてきたが、まだ隣の岡山県ほど活発にはなっていない。むしろ注目すべきプロジェクトはバイオマスの分野で数多く見られる。

 県の北側には中国山地が連なり、森林資源が豊富にある。木材加工業や製紙業も盛んだ。加工した後には端材や廃棄物が大量に排出され、バイオマスエネルギーの原材料として利用することが可能だ。

 木質バイオマスの分野で先進的に取り組んでいるのが、木材加工大手の中国木材である。加工後の端材や樹皮などを燃料にできる大型の発電設備を、呉市にある2か所の工場に導入した(図2)。

chugoku_mokuzai.jpg 図2 中国木材のバイオマス発電設備。出典:中国木材

 木質バイオマスから工場で必要とする電力を供給しているが、それだけでは終わらない。発電時に生じる蒸気を木材の乾燥にも利用する。木質資源とエネルギーの両方を多重活用する優れた仕組みを作り上げている。

 現時点の発電能力は2つの工場を合わせて7.3MW(メガワット)あり、さらに大型で18MWの発電が可能な最新鋭の発電設備を導入する計画も進めている。木質によるバイオマス発電では日本で最大の規模に拡大する。

teijin_mihara.jpg 図3 帝人の三原製造所にあるバイオマス発電設備。出典:帝人

 広島県をはじめ中国地方では、バイオマスを石炭と混ぜ合わせて効率的に発電する取り組みが広がりつつある。県南部の三原市では繊維産業大手の帝人が大規模な発電プロジェクトを実施している(図3)。

 帝人の三原製造所にある発電設備では、木質バイオマスに加えて使用済みのタイヤを燃料用に加工して、石炭とともに燃焼させる。バイオマスの合計比率は23%で、残りが石炭である。

 発電能力は21MWあり、このうちバイオマスによる発電は4.8MWに相当する。年間に木質バイオマスを5万トン、使用済みタイヤを1万トンも有効に消費することができる。しかも石炭の使用量を減らせたことで、製造所のCO2排出量は11%も低減した。

fukuyama_recycle.jpg 図4 福山リサイクル発電の設備。出典:福山リサイクル発電

 民間企業だけではなく自治体の取り組みも進んでいる。代表的な例は9つの市町村が広島県と共同で運営する「福山リサイクル発電(FRPC)」に見ることができる(図4)。その名の通り、廃棄物を再利用した発電設備である。

 まず各市町村では、家庭などから日々出される可燃ごみを粉砕・乾燥して「RDF(Refuse Derived Fuel)」とよぶ固形燃料を作る。このRDFを福山市にある発電所に集めて、ガスにしてから発電に利用する(図5)。

 1日あたり約300トンのRDFを使って21.6MWの電力を作ることができる。さらに燃やした後のRDFは土木用の資材としてリサイクルする徹底ぶりだ。

 ゴミを固形燃料にすることで輸送がラクになり、しかも1か所で発電することによって利用効率が上がる。こうした共同運営方式によって、小さな市町村でも過剰な発電設備を導入せずに廃棄物を処理できる点は大きなメリットである。地方の自治体による廃棄物発電のモデルケースと言える。

rdf.jpg 図5 広島県内の9市町村による廃棄物発電。出典:福山リサイクル発電

2014年版(34)広島:「メガソーラーの収益を地域に還元、自治体と電力会社が手を結ぶ」

2013年版(34)広島:「石炭火力発電が瀬戸内海の工業地帯で進化、バイオマスと太陽光も後押し」

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.