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» 2013年02月12日 09時00分 UPDATE

日本列島エネルギー改造計画(35)山口:本州の最西端にメガワット級の発電所、風力・太陽光・バイオマスが勢ぞろい

風力発電が盛んなところは海の近くに多い。典型的なのは大きな半島だ。本州の最も西側にある山口県は全体が半島のような形になっている。日本海からの風を生かして大規模な風力発電所が増える一方、太陽光やバイオマスによる発電設備も続々と動き始めた。

[石田雅也,スマートジャパン]

 青森県の津軽半島や石川県の能登半島など、外海に面して長い海岸線のある地域では、例外なく風力発電所が数多く稼働している。1年を通じて海からの風が強く吹くからだ。山口県も半島と同じように三方を海に囲まれていて、風力発電に適した場所が数多くある。

 中でも本州の最西端に位置する下関市に、大規模な風力発電所が集中している。ハイキングコースにもなっている市内の白滝山には、国内で最大級の「白滝山ウインドファーム」がある。山並に沿って並ぶ25基の大型風車が最大50MW(メガワット)の電力を生み出し、さらに敷地の一角には1.2MWのメガソーラーが設置されている(図1)。

kinden_shiratakiya.jpg 図1 風力発電所とメガソーラーが並ぶ下関市の白滝山。出典:きんでん

 日本ではまだ少ない風力と太陽光を組み合わせた「ハイブリッド発電所」として注目を集めている。発電の特性が異なる2種類の再生可能エネルギーを組み合わせて、より安定した電力供給を可能にする先進的な試みである。

yojo_shimonoseki.jpg 図2 下関市の沖合で計画中の洋上風力発電所の完成イメージ。出典:前田建設工業

 このほかにも10〜20MWクラスの風力発電所が下関市内だけで2か所にある。さらには沖合の洋上に風力発電所を建設するプロジェクトも始まっている。前田建設工業が2016年の稼働を目指して進めているもので、下関市の漁港から1〜2キロメートル程度の場所に20基の大型風車を設置する計画だ(図2)。

 風車の羽根の長さは55メートルに及び、支柱の最上部は海面から80メートルの高さに達する。20基の風車で合計60MWの発電が可能になり、白滝山ウインドファームの規模を上回る。すでに建設に向けて環境影響評価の段階に入っていて、順調に進めば2015年に工事を開始する予定だ。完成すれば国内で最先端の洋上風力発電所になる。

ranking_yamaguchi.jpg 図3 山口県の再生可能エネルギー供給量(2010年3月時点)。出典:千葉大学倉阪研究室と環境エネルギー政策研究所による「永続地帯2011年版報告書」

 これまで山口県の風力発電の導入規模は全国で7番目だったが(図3)、今後は確実に順位を上げていくだろう。

 再生可能エネルギーの導入が進んでいるのは風力発電だけではない。太陽光やバイオマス発電の大規模なプロジェクトも始まっている。太陽光では下関市の東側に隣接する山陽小野田市で13MWのメガソーラーが建設中だ。

 一方バイオマスでは、すでに大規模な発電設備が稼働している。広島県に近い岩国市の瀬戸内海に面した場所に、木質バイオマス専用の「岩国バイオマス発電所」がある(図4)。県内の製材会社などから集められた年間9万トンにのぼる木質チップを燃料に使って、10MWの発電能力を発揮する。

iwakuni_biomas.jpg 図4 岩国バイオマス発電所。出典:ミツウロコグリーンエネルギー

 山口県は海洋資源だけではなく森林資源も豊富にある。県内の約7割を森林が占めていて、スギやヒノキ、そして竹が多いことでも知られている。竹林の面積は鹿児島県と大分県に次いで全国で3番目に広い。

 こうした豊富な森林資源をエネルギーとして活用するための「森林バイオマスエネルギープラン」を2002年から推進してきた。その取り組みのひとつに「木質バイオマス石炭混焼発電」がある。石炭用の火力発電設備を改造して、木質バイオマスを石炭に混ぜ合わせて燃焼して発電する方法だ。

shinonoda.jpg 図5 新小野田発電所。出典:中国電力

 山口県には中国電力の主力になる火力発電所が集まっていて、100万kW級の大規模なものが3か所にある。そのうちの1つ「新小野田発電所」は石炭を燃料に使って100万kWの発電能力がある(図5)。この火力発電所で2007年から木質バイオマス石炭混焼発電が始まった。

 木質バイオマスの混合率は重量に換算して3%以下だが、それでもバイオマスによる発電量は年間で1500万kWh程度になり、一般家庭で3000世帯以上の電力をバイオマスで供給できる。しかも石炭だけの火力発電と比べて、CO2の排出量が1万トン以上も減る。

 このところ価格の安い石炭を使った火力発電が注目を集めているが、CO2排出量の多さが最大の難点である。木質バイオマス石炭混焼発電は有効な解決策になる。これから全国に数多くある石炭火力発電設備に広がっていく期待がある。

2014年版(35)山口:「小水力発電をダムに展開、サイフォン式やバルブ式で水流を生かす」

2013年版(35)山口:「本州と九州のあいだで洋上風力、20基の大型風車が未来をひらく」

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