関西の需要が6%減少、過剰な供給力で発電コストを無駄遣い電力供給サービス

今冬の関西電力管内の需要が当初の予測を大幅に下回っている。2年前の2010年度と比べても約6%減少していることを関西電力が発表した。一方で供給力を適切に調整できずに、過剰な供給状態を続けていることが明らかになった。発電コストの無駄遣いは許されない状況にある。

» 2013年02月27日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 関西電力が2月26日に発表した今冬の需給状況報告を見ると、需要が最大になったのは2月19日(火)の午前10時〜11時で2432万kWだった。当日の供給力2656万kWに対する需給率は91.6%である。

 12月〜2月の需要を過去3年間で比較すると、厳寒だった2年前と比べて約140万kW少ない水準に下がっている(図1)。比率にして約6%の減少率になる。3年間の気温の分布がさほど変わらないことから、減少分には「節電効果が含まれている」と関西電力は評価している。

図1 最近3年間の冬の最大電力の推移(需要が最大になることが多い18時〜19時)。出典:関西電力

 今冬の需要は関西電力が10月の時点で政府に報告した予測値も大幅に下回っている(図2)。1月と2月の需要は最大で2537万kWになる予測だったが、現在のところは2432万kWが最大で、100万kW以上も少ない。この数字を見ても6%の減少率になる。

図2 10月に予測した今冬の需給見通し(1月と2月)。出典:関西電力

 一方で供給力は予測を大きく上回り、最大は1月23日(水)の2892万kWだった(図3)。当日の需要は2234万kWしかなく、需給率は77%という低さだ。この週は連日2800万kW台の供給力を続けており、需要に合わせて適切に調整できなかったとみられる。結果として、発電コストの一部が無駄使いされたことになる。

図3 1月の電力需給状況。出典:関西電力

 関西電力は4月から電気料金を値上げすることを発表したが、過剰な供給力を維持して燃料費を無駄遣いしていることは利用者には納得しがたい。安定供給を前提にしながらも適切な需給バランスを維持する能力が電力会社に求められる。

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