「バイオマス産業都市」の全国拡大構想、2020年に5000億円規模へ自然エネルギー

農林水産省を中心に7つの省庁が連携して「バイオマス産業都市」を推進する国家プロジェクトが始まった。2013年度に23億円の予算を使って、自治体などがバイオマス関連設備を設置するための補助金を支給する。2020年に向けて5000億円規模の新産業の形成を目指す。

» 2013年03月26日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 政府の関連7省庁は2009年に「バイオマス活用推進基本法」を制定して以来、全国各地に「バイオマスタウン」を展開する戦略を進めてきた。新たに再生可能エネルギーの導入を加速させる狙いも込めて、「バイオマス産業都市」の拡大に乗り出す。2012年度の補正予算と2013年度の通常予算を合わせて23億円余りを補助金にして自治体などを支援する方針だ。

 バイオマス産業都市では原料の収集からエネルギーの製造・利用までの一貫したシステムを地域内に構築することが最大の目的になる。木質、家畜排せつ物、食品廃棄物などを活用した新しい産業の創出と地産地消型のエネルギー供給体制の両立を目指す(図1)。

図1 バイオマス産業都市のイメージ。出典:バイオマス産業都市関係府省連絡会議

 補助金の支給対象は市町村を最優先に、市町村と都道府県あるいは民間企業との共同体も候補になる。第1次の募集を3月22日から4月26日まで実施する。2013年度中に第2次の募集も予定している。応募にあたっては2013年度に実施する詳細な事業計画のほか、5年後と10年後の予定も盛り込む必要がある。

 補助金は計画策定と設備導入の2つに対して割り当てられる。計画策定の補助金は総額5400万円で定額を支給する。設備導入の補助金は総額22億9000万円で、導入費用の2分の1までが支給されることになっている。

 政府はバイオマス産業都市のプロジェクトを通じて、2020年には5000億円規模の新しい産業を創出したい考えだ。そのために全国で600の市町村に推進計画を広めて、木質をはじめ未利用のバイオマス資源の利用率を高めていく計画である。2020年に目標どおりのバイオマスエネルギーを活用できると、電力に換算して年間で約130億kWhになり、280万世帯分の電力使用量に相当する規模になる(図2)。

図2 バイオマスエネルギーの年間利用可能量。出典:バイオマス活用推進会議

 バイオマス産業都市を推進する7つの省庁は、農林水産省のほかに内閣府、総務省、文部科学省、経済産業省、国土交通省、環境省である。関係省庁がすべて参画する一大プロジェクトになる。

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