市民共同出資でメガソーラー、秋田県の農村に1.6MWの発電所スマートシティ

農村などで地域振興を目指して再生可能エネルギーに取り組む動きが広がっている。企業や自治体に依存しないで市民の共同出資によるプロジェクトも増えてきた。秋田県では農村の使われないままになっている広い土地に1.6MWのメガソーラーを建設する計画が動き出す。

» 2013年04月05日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
図1 「大沢大規模太陽光発電所」の建設予定地。出典:エナジーイノベーション

 秋田市内の農村地帯で長年にわたって遊休地のままになっていた4万平方メートルの土地に、1.6MW(メガワット)の「大沢大規模太陽光発電所」を建設する計画が始まろうとしている(図1)。このところ全国各地に広がってきた市民共同出資によるプロジェクトだが、メガソーラー級の大規模な事例はまだ少ない。

 この太陽光発電所は地元の「エナジーイノベーション」が地権者12人と土地賃貸借契約を結んで建設するもので、建設費の一部を市民から集める(図2)。4月5日から募集を開始して、募集総額の6000万円に達してから建設に入る予定だ。

 出資額は10万円から100万円まで3段階があり、年1〜3%の配当を目標にする。ただし元本は保証しない。配当金も契約期間が終了した時点で一括に支払われる。県産品で配当を受け取ることも可能で、その場合は毎年の配当になる。

図2 「大沢大規模太陽光発電所」の事業スキーム。出典:エナジーイノベーション

 出資だけではなくて発電所の運営にも住民が参加する。降雪地帯の土地にメガソーラーを建設する場合には、日射量を確保するために除雪と除草が欠かせない。その作業を地元の農業法人に委託することで、地域参加型の発電所の運営を目指す。

 すでに発電設備の認定と電力会社に対する接続の申し込みは完了した。このため2012年度の買取価格40円(税抜き)を適用できる状態になっている。年間の発電量は152万kWhを見込んでいて、年間の売上は約6000万円になる。

 20年間で12億円の売上を期待できる一方、建設費は4億5000万円を想定している。運転維持費は資源エネルギー庁の試算(年間1万円/kW)を適用すると年間で1600万円、20年間で3億2000万円になる。

 計画通りの発電量になれば十分に採算がとれるが、太陽光発電は気候による影響が大きく、特に降雪地帯では不安定になりやすい。20年間のうちには発電設備の性能の劣化も進む。長期にわたって安定した稼働状態をどのくらい維持できるかが、降雪地帯の発電プロジェクトの成否を握っている。

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