石炭火力をクリーンにする「バイオマス混焼発電」キーワード解説

燃料費が安い石炭火力発電に注目が集まっている。最大の課題はCO2排出量が多いことだが、よりクリーンな石炭火力発電を実現する方法が増えてきた。そのひとつが「バイオマス混焼発電」で、木質などのバイオマスを石炭に混ぜて燃料に利用することでCO2排出量を削減する。

» 2013年04月12日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 原子力発電所の停止によって火力発電の比率が高まり、燃料費が増加したことで電気料金の値上げが相次いでいる。火力発電用の燃料の中では石炭の単価が最も安く、天然ガスと比べて約2分の1、石油と比べると3分の1程度で済む。ただしCO2の排出量が天然ガスを使った場合よりも増えてしまう。

 そこでCO2の排出量を抑えるための技術開発や実証実験が各方面で進められている。石炭と再生可能エネルギーを組み合わせた「バイオマス混焼発電」も、そのうちのひとつだ。代表的な事例として、中国電力が島根県の三隅発電所で2011年から取り組んでいる実証実験がある(図1)。

図1 中国電力三隅発電所(島根県浜田市)で実施中の「木質バイオマス石炭混焼発電」。出典:新エネルギー導入促進協議会

 この石炭火力発電所では、島根県内の林業で発生する残材を集めてチップにしてから、石炭に混ぜて使っている。実証実験の結果、木質バイオマスを石炭に2%混ぜても正常に発電することを確認できた。バイオマスの分だけ石炭の使用量を減らせる。わずか2%の混焼率でも、年間に2万トン以上のCO2排出量を削減できる。

 木質のほかに下水の汚泥からバイオガスを生成して石炭と混焼させる取り組みなども始まっている。バイオマスは生ごみから家畜のフンまで国内に大量にある。バイオマス単独では発電用として十分な量にならない場合でも、石炭と混焼させれば有効な再生可能エネルギーになる。

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