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» 2013年05月14日 11時00分 UPDATE

自然エネルギー:今後5年間で太陽光市場はどうなる、主役は欧州からサンベルト諸国へ (1/2)

太陽光発電市場はドイツ、イタリアなどの欧州諸国が引っ張ってきた。だが、それも2012年が最後となる。今後はサンベルト諸国と呼ばれる低緯度地域の成長が加速していく。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 太陽光発電は2012年から新しい秩序に向かって動き始めた。前回の記事では2012年の太陽光発電の実績について触れた。今回は2013年から2017年の期間について、さらに2020年や2030年に何が起こるのか、業界団体の予測を紹介する。

 太陽光発電システムに関する世界最大の業界団体European Photovoltaic Industry Association(EPIA)によれば、2012年以降の新しい秩序とは、成長のエンジンが欧州からそれ以外の世界へと広がっていくことを意味する。

 EPIAは今後5年間の予測を2つのシナリオに従って予測している。1つは「旧態依然シナリオ」だ。これは固定価格買取制度(FIT)の買取価格が急速に下がり、FIT以外の政策支援が得られない場合を指す。この場合であっても市場は緩やかに成長していく。これは一部の日照条件のよい諸国が「グリッドパリティ」に到達したからだ。これはFITの支援が全く無い場合でも家庭向け電気料金と同じコストで太陽光発電が可能になったことを意味する。つまり、FITがなくても太陽光発電に競争力が生まれ始めている。

 もう1つが「政策主導シナリオ」だ。これは現在の主要国でFITの値下げがあったとしても、今後市場が拡大する国で次々とFITなどの政策支援が得られる場合を指す。

2013年に欧州の地位は低下する

 EPIAが2013年4月に発表したリポート「Global Market Outlook For Photovoltaics 2013-2017」によれば、2012年時点で、既に導入された全世界の太陽光発電102GWの7割、70GWが欧州に設置されている。しかし、欧州が主要な市場だったのは2011年までであり、今後は欧州の占める比率は低下していく。短期的にはイタリアが原因だ。2011年はイタリアで太陽光発電のブームが起き、新規導入量世界一になっている。その後、イタリアのブームが沈静化したため、イタリア以外の欧州が成長していても、世界に占める欧州の地位が低下するという予想だ。

 2つのシナリオによる欧州全体の予測はかなり異なる(図1)。2009〜2012年は確定値(灰色)、黄色が旧態依然シナリオによる予測、オレンジ色が政策主導シナリオによる数字だ。どちらのシナリオでも2013年の値が落ち込んでいるのは、幾つかの国でFITの買取価格が急落するからだ。FITの買取価格が上がる国はあるものの、支えきれない。その後に再び成長が始まるかどうかが、2つのシナリオの予測の差だ。

yh20130514EPIA_EU2017_510px.jpg 図1 欧州の新規導入量の予測(2009〜2017年)。出典:EPIA

2030年時点で最大25%の需要を満たす

 EPIAは2012年9月に公開したリポート「Connecting the Sun: Solar photovoltaics on the road to large-scale grid integration」において、2020年と2030年の累積導入量予測を3種類挙げている。シナリオが3つあるということだ(図2)。基準(Baseline)シナリオは先ほど紹介した旧態依然シナリオに相当する。ほぼ下限の予測値を示していることになる。加速(Accelerated)シナリオは政策主導シナリオに相当する。パラダイムシフト(Paradigm Shift)シナリオでは市場の成長を阻害するあらゆる障害が取り除かれた場合の予測を示す。上限の予測値に相当する。

 基準シナリオでも、2020年時点で太陽光発電が欧州の総電力需要の4%を満たすと予測した*1)。累積導入量は130GW。2030年時点では総電力需要10%を満たす。加速シナリオでは同じく8%、200GW、15%、パラダイムシフトシナリオでは12%、390GW、25%となる。

*1) 2012年の確定値では総電力需要の2.6%に相当する実績を上げている。EU加盟国は2010年にNREAP(National Renewable Energy Action Plan)と呼ぶ実行計画を公開している。2020年時点の目標は2.4%(図2の青丸)だ。つまり、2012年の段階で、2020年の予測を上回ってしまっている。

yh20130514EPIA_EU2020_30_590px.jpg 図2 2020〜2030年の欧州市場の予測。出典:EPIA

 2020年時点で累積導入量が10GWを超えるEU諸国は以下の通りだと予測した。それぞれ最も可能性が高いシナリオが選ばれている。以下、ギリシャ、オランダ、ベルギーが続く。

  • ドイツ(80GW、パラダイムシフトシナリオ)
  • イタリア(42GW、加速シナリオ)
  • フランス(30GW、加速シナリオ)
  • イギリス(22GW、パラダイムシフトシナリオ)
  • スペイン(18GW、加速シナリオ)
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