風力発電を関西電力が中部電力へ供給、愛知県で3900世帯分自然エネルギー

日本で初めて再生可能エネルギーの供給が電力会社間で実施されることになった。関西電力が愛知県に建設する風力発電所の電力を中部電力に販売する。2014年6月から運転を開始する予定で、6MW(メガワット)の発電能力により、一般家庭で3900世帯分の電力を供給できる見込みだ。

» 2013年05月23日 16時30分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 関西電力が風力発電所を建設する場所は、愛知県の田原市にある東京製鉄の工場の敷地内である(図1)。三河湾に面した一角に、発電能力が2MW(メガワット)の大型風車を3基、合わせて6MWの発電設備を建設する計画だ。2013年6月に着工して、1年後の2014年6月から運転を開始する予定である。

図1 風力発電所の建設予定地。出典:関西電力

 年間の発電量は約1400万kWhになり、一般家庭で約3900世帯分に相当する電力を供給できる見込み。建設予定地は中部電力の営業地域内にあり、発電した電力は全量を中部電力に販売する。このように電力会社間で再生可能エネルギーの取引が実施されるのは今回が初めてのケースだ。固定価格買取制度を利用すると、関西電力の収入は年間に約3億円になる。

 関西電力は兵庫県で12MWの風力発電所、大阪府で10MWの太陽光発電所を稼働中だが、いずれも自社の営業地域内で電力を供給している。このほかに京都府や和歌山県、さらに福井県の若狭地域でも太陽光発電所を建設中である。

 今回あえて他の電力会社の営業地域内で発電所を建設することにした理由は明らかにされていないが、固定価格買取制度を利用して売電するほうが収益は大きくなる可能性がある(買取価格は1kWhあたり22円)。

 愛知県の田原市は太平洋に突き出た渥美半島のほぼ全域を占めていて、海からの風が安定して吹くため風力発電に適している。現時点で9つの風力発電所が稼働中だ(図2)。特に関西電力が発電所を建設する田原地区は年間の平均風速が6.6メートル/秒に達し、風力発電に必要な5メートル/秒を大幅に上回る。

図2 田原市で稼働中の風力発電所。出典:田原市市民環境部

 加えて愛知県の太平洋側は日射量が多いことから、田原市では大規模なメガソーラーの建設プロジェクトも相次いで始まっている。

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