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» 2013年05月29日 13時00分 UPDATE

自然エネルギー:「千枚田」から1kWの電力を取り出す、愛知県の小水力

小水力発電は個人でも実現可能な水力発電だ。出力は数kW程度とそれほど大きくないものの、自立分散型の電源として優れており、電力を常時供給できるという特徴がある。愛知県の山間部に設置された事例を紹介する。

[畑陽一郎,スマートジャパン]
yh20130529Aichi_map_250px.jpg 図1 愛知県新城市四谷の位置

 農業用水を利用した小水力発電は、山がちな日本の国土に合っている。愛知県が県内に設置した初の小水力発電所も山間地の地形をうまく利用している(図1)。

 「四谷地区小水力発電施設」(愛知県新庄市)*1)は、千枚田(棚田)で知られる四谷地域に設けた小水力発電。棚田の農業用水を利用して、最大出力1kWを得る(図2)。図2の右にある水力発電ユニットは幅50cm、奥行き40cm、高さ51.5cmという小型のものだ。

*1) 新城市は中央部を北東から南西に横切るJR飯田線と豊川沿いに人口が集中しており、それ以外の部分は起伏のある山間部となっている。今回の小水力発電所を建設する以前、新城市と愛知大学が共同で行った調査では小水力発電の適地が21カ所見つかっている。さらに明治41年から昭和38年に至るさまざまな期間に機能していた「小水力発電」の遺構が市内に31カ所も見つかったという。用途は一部を除きほぼ全て電灯用電源であり、出力が分かったものは0.1kWから250kWの範囲にあった。当時は山間部に系統電力が供給されていなかったため、利用されていたものだという。

yh20130529Aichi_box_391px.jpg 図2 棚田の様子(左)と小水力発電機。出典:愛知県

 小水力発電システムの構成は図3の通り。灰色で示した部分は今回の計画以前から農業用に利用されていたもの。例えば取水管や放流升だ。2012年度には図3で緑色に示した小水力発電機などを設置、2013年度に紫色で示した部分を取り付け、発電機に水を導いた。2013年6月には完成式を開催する予定だ。

 発電した電力は売電せず、系統とは独立した自立分散型電源としてトイレ照明やトイレ浄化槽のブロワー、害獣防止電気柵に用いる。

yh20130529Aichi_system_590px.jpg 図3 小水力発電システム。出典:愛知県

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