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» 2013年05月30日 11時00分 UPDATE

自然エネルギー:タイは再生可能エネで25%供給を目指す、大規模太陽光では84MWを導入

化石燃料への依存度が高い国は、日本だけではない。中国に続いて世界の工場となりつつあるタイの依存度は9割にも上る。これはバランスを欠いている。タイ政府は一次エネルギー供給の25%を再生可能エネルギーに置き換える計画を立案。メガソーラーの導入を進める。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 アジアで最も再生可能エネルギー導入に熱心な国はどこだろうか。導入規模であれば中国やインドだ。太陽光に対する優遇策では日本だろう。

 人口7000万の国、タイは再生可能エネルギーを語る文脈で取り上げられることは少ないが、実際には計画的に規模を増やそうとしている。固定価格買取制度(FIT)を早くも2006年に導入しており、現在は、バイオ液体燃料が発達している*1)

 バイオ液体燃料の生産量は2011年時点で世界第10位(11億L)。アジアでは中国、インドネシアに続いて第3位だ。内容はバイオエタノールとバイオディーゼルがほぼ同量。タイ政府はバイオ液体燃料の使用を政策で義務付けている。輸送用燃料を再生可能エネルギーでまかなおうという試みだ。

*1) この他、集光型太陽熱発電(CSP)が世界ランキングに登場する。2011年にCSPの導入を始めたばかりだが、既にアジアでは首位、世界でも8位の規模に達した。出力は9.8MWだ。

 タイが再生可能エネルギーに注力している理由はこうだ。発電や輸送、熱源などの全用途を合計した一次エネルギーに占める化石燃料の比率が高過ぎる。2012年時点で90%を占めている。これほど多くの化石燃料を輸入に頼るのはかなり危険な状態だといえるだろう*2)。再生可能エネルギーは一次エネルギーのわずか10%を占めるにすぎない。そのほとんどが水力*3)とバイオ燃料だ。

*2) タイは原子力発電を導入していない。2011年以前には2020年に導入する予定だったが、現在では2030年に計画を変更した。
*3) 2009年時点で発電に占める比率は火力95.2%、水力4.8%であり、こちらも危険な状態だ。

政策主導で再生エネを導入

 タイ政府はこの状態を改善する政策「Renewable and Alternative Energy Development Plan:AEDP2012-2021」を2012年に打ち出した。1次エネルギーに占める再生可能エネルギーを2021年に25%まで高めるというものだ。エネルギーの種類ごとに数値も公表している(図1)。

 図1では青い縦棒で2011年の実績値を、橙色の縦棒で2021年の計画値を示している。最大の柱は既に立ち上がっているバイオマスの倍増策だ。タイではバイオ燃料(液体、ガス)以外に固体バイオマスを使った発電も進めている。2011年時点の規模は1.6GWだ。

 次いで、太陽光、水力、風力を伸ばしていく予定だが、いずれも現状は計画値に対して大幅に少ない。どうやって達成するのだろうか。

yh20130529Sharp_ThaiEnergyPlan_490px.jpg 図1 タイの一次エネルギーに占める再生可能エネルギーの比率。縦軸:MW

シャープと三菱商事が協力

yh20130530Sharp_map_250px.jpg 図2 タイ、ロッブリ県の位置。バンコクから北に100kmほど離れている。

 タイには太陽光や水力、風力の大規模メーカーが存在しない。そこで、外国企業の協力を得ながら、導入(インストレーション)や運営などの分野から自国産業を育てていく計画だ。

 タイの太陽光発電は戸建て住宅の屋根を使うのではなく、地上設置、それも大規模なものが中心だ。メガソーラーである。

 太陽光ではシャープと三菱商事などが協力する。2012年3月にはタイ中部のロッブリ県(図2)に出力73.2MWのメガソーラー(敷地面積は約1.84km2)を設置、運転を開始した(図3)。総事業費は計画段階で約220億円。ロッブリ県の全世帯の3分の1に相当する7万3000世帯分の電力を供給可能だという(1世帯当たりの平均電力需要を1431kWhとして計算)。

yh20130530Sharp_73MW_500px.jpg 図3 2012年3月に運転を開始した出力73.2MWのメガソーラー。出典:シャープ

 2013年5月には隣接地で10.3MWのメガソーラー(敷地面積は約0.32km2)が動き始めた(図4)。合計出力84MWは、2011年時点の総導入量75Mを上回り、タイで最大規模のメガソーラーとなった。

 いずれも高温時に結晶シリコン太陽電池よりも変換効率の低下が少ない薄膜シリコン太陽電池モジュールを採用した。2カ所合計で約64万枚のモジュールを設置したという。

yh20130530Sharp_10MW_500px.jpg 図4 2013年5月に運転を開始した出力10.3MWのメガソーラー。出典:シャープ

 メガソーラー開発に参加した企業は図5の通り。2つのメガソーラー事業を運営する主体は、タイの独立発電事業者(IPP)であるNED(Natural Energy Development)。NEDには3社が等分で出資している。三菱商事が出資するIPP事業の統括子会社、香港DGA(Diamond Generating Asia)と、香港の民間電力会社であるCLP(CLP Holdings)、タイの大手IPPであるEGCO(ELECTRICITY GENERATING PUBLIC COMPANY)だ。

 メガソーラーの設計、機器調達、建設(EPC)はシャープが担当した。土木・建設工事はタイの大手建設会社であるITD(ITALIAN-THAI DEVELOPMENT PUBLIC COMPANY)と、ITDの関連会社であるタイITE(ITALTHAI ENGINEERING)が進めた。今後の保守とメンテナンスはシャープの子会社であるタイSSMA(Sharp Solar Maintenance Asia)が担当する。

yh20130530Sharp_companies_360px.jpg 図5 メガソーラー開発関連企業。出典:シャープ

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