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» 2013年06月18日 11時00分 UPDATE

電力供給サービス:200kmの「超電導送電」に向かって、さくらインターネットなど4社が実証研究を開始

世界最長の高温超電導直流送電システムを試作し、実系統とも接続する。超電導ケーブルでデータセンターに電力を送るという大規模な実証研究が2015年3月までの2年間の予定で始まった。500mと2kmのケーブルを利用する。その後は一気に200kmを目指すもくろみだ。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 電気抵抗がないため、電力の損失を抑えつつ送電が可能な技術――超電導送電。2013年からは、大容量、高電圧、長距離など実用化へより近づくための実証研究が始まる(関連記事)。

yh20130618SuperConducting_map_250px.jpg 図1 石狩データセンターの位置

 実証実験に参加するのは、さくらインターネットと住友電気工業、中部大学、千代田化工建設の4者からなるコンソーシアム。経済産業省の「高温超電導直流送電システムの実証研究」を受託し、北海道石狩市で高温超電導直流送電システムを試験する。期間は2年間、2013年度の事業費は25億円だ。4者は2013年9月までに技術研究組合を設立して、設計などの細部を詰めていく。

 実証研究の大枠は、長さ500mと2kmの超電導ケーブルを別々に敷設し、太陽光発電システムや商用交流電源をさくらインターネットの石狩データセンター(図1)と接続するというものだ。千代田化工建設がプロジェクトのとりまとめを行い、スケジュールを管理する。冷熱技術も利用する。中部大学はこれまでの実験のノウハウを提供し、住友電気工業が超電導ケーブルを製造する。

 今回の実証研究を含む構想の全体像を図2に示した。ベースとなるのは中部大学が持つ「高温超伝導直流送電実証実験装置-2号機(CASER-2)」だ。この装置は−196℃の液体窒素で冷却した断熱管の内部に超電導ケーブルを配置しており、約200mの送電実験が可能だ。

yh20130618SuperConducting_design_590px.jpg 図2 超電導直流送電の現状と将来。出典:さくらインターネット

 この技術を利用して送電距離を伸ばし、石狩データセンター内に500mの超電導ケーブルを敷設する。太陽光発電システムなどから送られてくる400Vの直流電力を50MW程度送る予定。「単芯型ケーブルを使う見込みだ」(住友電気工業)。

 500mケーブルの敷設が終わった後、系統から石狩データセンターまで2kmのケーブルを敷く。5000〜1万Vの交流電力を50MW程度送る。公道に超電導ケーブルを敷設するため、地方自治体の協力も得る。「500mのケーブルは2014年度内の敷設、2kmのケーブルは2015年度になるだろう」(さくらインターネット)。

 今回の実証研究が終了した後の方向性も決まっている。2015年以降には北海道を縦断し、稚内方面に200kmケーブル延伸する。北海道に数多く点在する太陽光発電システムや風力発電システムとの接続も試みる。2020年以降はさらに大陸間へとケーブルを広げていく。

新技術開発も必要

 実証研究で困難なのは2kmのケーブルだ。「社内の研究施設は70m長であり、東京電力の旭変電所(横浜市)の実証試験でも240m長だ」(住友電気工業)。このため、桁の違う2kmへと伸ばすには3つの技術開発が必要だという。

 第1が、ケーブルの熱収縮・熱膨張対策だ。超電導ケーブルは常温から液体窒素温度へ冷却すると0.3%収縮する。2kmだと6mに相当する。従って断線対策が必要だ。第2に長距離を液体窒素が循環するため、熱進入を防ぎ、液体窒素の循環時の抵抗を下げる工夫が必要だ。第3は2kmという長さ自体から生まれる課題だ。超電導ケーブルは銅線ではないため、大電流を流すための接続技術が必要だという。

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