土地を無償で借り受けて自治体が太陽光発電、京丹後市が取り組む自然エネルギー

日本海側は太平洋側と比べて太陽光発電の条件が厳しい場合がある。京都府の最北端、京丹後市は再生可能エネルギー導入の先駆けとなるために、市自らが運営する太陽光発電所を立ち上げる。

» 2013年08月01日 09時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 京丹後市と発電所の計画位置

 京都府の最北端、人口6万人の京丹後市は再生可能エネルギーに対する取り組みのきっかけとするため、市自らが太陽光発電に乗り出す(図1)。「当市は日本海側にあり、再生可能エネルギーという点でいまだ注目されていない。再生可能エネルギー普及の一里塚として発電所を立ち上げる」(京丹後市)。

 同市の取り組みは、市内の2カ所に分かれた土地を丹後織物工業組合から無償で借り受け、太陽光発電所の設計、調達、建設(EPC)を公募型プロポーザル方式で募集し、完成後の発電所の運営は市が行うというものだ。2013年度の予算は3億8300万円、提案の上限を3億5000円として、太陽光発電所を立ち上げる。

 「立ち上げ時に整備事業費として3億8000万円を投じ、年間で売電収入の10%以内を管理・運営費に振り分ける。出力0.93MWの発電所を運営し、全量を市が関西電力に36円/kWh(税引)で売電すると、1年間で約3500万円、20年間で6億4000万円が見込める」(京丹後市)。

 発電所の建設予定地の面積は2カ所の合計で1万8864m2。同市の大宮町の土地約6200m2に290kW、網野町の約1万2400m2に640kWの容量を見込む(図2)。2013年9月6日まで企業からの企画提案書の提出を受け付ける。契約後は2014年3月25日までに工事を終え、2014年4月1日から売電を開始する計画だ。

図2 発電所の建設予定地。大宮町(上)と網野町。出典:京丹後市

 企画提案書に盛り込まなければならない内容は詳細にわたっている。出力は太陽電池モジュール側で900kW以上、年間発電量は90万kWh以上だ。6.6kVの高圧で系統連系し、全量の売電を可能としながら、災害・停電時はパワーコンディショナから100Vの交流電力を供給可能にする。網野町の立地は日本海から2km程度に位置するため、耐塩対策も必要とした。

 京丹後市は京都府から豪雪地帯として指定されている。このため、太陽電池モジュールの最下部は地上から1.1m以上の高さに設置しなければならない。管理・運営時には雑草対策が必要だが、民家周辺ということもあり除草剤の使用は禁止だ。

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