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» 2013年08月02日 09時00分 UPDATE

電気自動車:1200年の歴史がある鹿児島の離島に電気自動車、太陽光との組み合わせなるか

薩摩川内市は日本ユニシスの協力を得て、市内の離島、甑島で電気自動車を利用した実証事業を開始した。市独自の取り組みと国土交通省の支援事業の2つを同時期に同じ場所で進める。

[畑陽一郎,スマートジャパン]
yh20130802Koshikishima_map_250px.jpg 図1 薩摩川内市と甑島(こしきしま)の位置

 鹿児島県の薩摩川内(さつませんだい)市は日本ユニシスの協力を得て、市内の離島、甑島(こしきしま)における「EV導入実証事業」を2013年8月1日に開始した。

 薩摩川内市は市内の課題を解決する「市民の喜ぶエネルギー面での処方箋」として、2013年3月に次世代エネルギービジョンを公開した。電気自動車(EV)の実証実験は同ビジョンのうちの1つ「10年から20年先の『ありたい姿(未来像)』を見据えた「次世代エネルギーを活用したまちづくり」の1つの実例として取り組む。

 甑島列島は九州本土から約30km西に浮かぶ(図1)。主な3つの島のうち上甑島と中甑島は橋でつながっており、その南に下甑島が位置する。3つの島を合わせた面積は約120km2。人口は約6000人だ。このような離島の環境を保護しつつ、観光を盛り上げたいというのが市の目的意識だ。

 そのために、三菱自動車の「i-MiEV」3台を公用車として導入、普通充電器2基を上甑島と下甑島に設置した。甑島にはレンタカー事業者が3社あるため、休日や観光シーズンは電気自動車をレンタカーとして貸し出す(図2)。

yh20130802Koshikishima_EV_584px.jpg 図2 EV導入実証事業に用いる車(図上)と、国土交通省の超小型モビリティの導入促進事業に使う車と一緒に集めたところ(図下)。出典:薩摩川内市、日本ユニシス

 EV導入実証事業の事業費は、2013年度(単年度)の当初予算案では1652万3000円。事業の目的として3点を挙げている。第1に利用者から電気自動車にかかわるさまざまなデータ収集を行い、将来的なエコアイランド化に向けた検討材料とするもので、市公用車としても活用するもの、第2に運転時間、走行距離、走行履歴等の定量的データの収集、第3が利用者の感想等の定性的データの収集だ。

 どうやって実現するのだろうか。ここで日本ユニシスが開発した電気自動車充電インフラシステムサービス「smart oasis」を役立てる。利用者が市から配布されたカードを使って充電器を操作すると、認証、利用実績管理、時間管理、予約などの処理をクラウド上で動作するsmart oasisが実行する。

 薩摩川内市はEV導入実証事業と同時に甑島で、国土交通省の超小型モビリティの導入促進事業も進める*1)。トヨタ車体の電気自動車「コムス」20台を導入して、EV導入実証事業と同様、2014年3月末までレンタカー事業を進める。

*1) 薩摩川内市の他、トヨタ車体研究所、薩摩川内市観光協会、薩摩川内市雇用創造協議会、創夢レンタリース、五色レンタカー、親和レンタカー、甑島8地区コミュニティ協議会が参加する。

実はエネルギーの街だった

 薩摩川内市内には火力発電所2基(各50万kW)の他、川内原子力発電所2基(各89万kW)が設置されている。東日本大震災以降、市は従来のエネルギーの街を次世代エネルギー活用の街へと発展させようとしている。

 その結果、薩摩川内市にはエネルギー関連の施設が集まってきた。「市としては資金面などで特段の優遇策を設けていないが、設置条件がよいためか、企業からの問い合わせが多い」(薩摩川内市)。資金面の支援はないものの、2013年7月には市内の41カ所の公共施設の屋根貸しによる太陽工発電事業について、企画提案公募を募集している。

 2013年に運転を開始したか、年末までに開始を予定する太陽光発電所は、市が推進する「総合運動公園 太陽光発電設備」(670kW)の他、九州おひさま発電の「斧渕発電所」(1.022MW)、薩摩川内市と九州電力が実施する「スマートグリッド実証試験」の設備(278kW)、ダックスの「パレストソーラー入来発電所」(1.5MW)、中越パルプ工業の「唐浜メガソーラー発電所」(1.81MW)、ENEOSグローブの「薩摩川内第1・第2発電所」(合計3.5MW)、ミタルダの「ミタルダ・イクシアさつま川内一角池」(1MW)と数多い。その後は、2013年から2014年にかけて柳山ウインドファームの風力発電所(27.6MW)が、2015年11月には中越パルプ工業のバイオマス発電所(25MW)が運転を開始する。

 甑島の電力は出力1万4250kWのディーゼル式の甑島第一発電所と、出力250kWの甑島風力発電所が担っている。太陽光発電に適した立地であり、将来は太陽光と電気自動車を組み合わせたエコアイランド化を狙いたいという。

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