もっとスマートに節電しよう!(4)契約を見直す電気料金を安くする5つのステップ

各地で電気料金の値上げが相次いでいるが、電力会社との契約を見直すことで料金を安く抑えられる可能性がある。そのうえで節電対策を組み合わせれば、効果はいっそう大きくなる。電力の使用量を時間帯・曜日・季節別に把握して、最も単価が安くなる契約メニューを選びたい。

» 2013年09月26日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

連載第3回:「システムで自動化する」

 電力会社が提供する契約メニューには、いろいろな種類があることをご存じだろうか。単価の設定がシンプルな標準のメニューで契約する場合が多いが、時間帯や季節によって単価が安くなるメニューを各電力会社は用意している。

 一般には夜間割引が知られているが、それ以外にも休日割引や使用量に応じた割引などもある。電気料金を安くするために契約メニューを見直すことは、必ず実施すべき重要な対策だ。

「電力量料金」の単価に着目する

 実際に電気料金を計算する方法は簡単ではない(図1)。そこで単純に割り切って、「基本料金」と「電力量料金」の2つだけを考えるとわかりやすい。基本料金は使用量に関係なく決まる月額固定の部分で、企業や家庭が使用する電力の最大値(ピーク)に単価を掛け合わせる。毎月のピークを抑えれば基本料金を安くすることができる。

図1 電気料金の計算方法。出典:北海道電力

 一方の電力量料金は毎月の使用量に単価を掛け合わせて計算する従量課金の部分だ。この電力量料金の単価を時間帯や曜日などによって変えたメニューがあり、毎日の使用量の傾向によっては標準メニューよりも割安になる。

 夜間や休日に大量の電力を使っているにもかかわらず、昼間や平日と同じ単価で料金を請求されるのは損な場合が少なくない。電力会社が企業向けに提供している単価変動型のメニューをいくつか紹介しよう。

夜間料金を休日の昼間にも適用

 電力量料金の単価を変動させた代表的なものが、季節別・時間帯別のメニューである。7月〜9月の「夏季」と10月〜6月の「その他季」で単価が変わる(図2)。さらに昼間と夜間、夏季は13時〜16時の「ピーク」でも単価が変動する仕組みだ。

図2 季節別・時間帯別に単価が変動する例。出典:東京電力

 BEMS(ビル向けエネルギー管理システム)を使って月間の電力使用量を時間帯別に集計すれば、それぞれの時間帯の単価を掛け合わせることで、電気料金が標準メニューと比べてどう変わるかがわかる。

 同様に曜日別のデータを集計して、休日割引を適用した場合の電気料金を推定することもできる。例えば中部電力の休日割引メニューでは、日曜日と祝日は24時間すべて夜間と同じ安い単価になる(図3)。ただし休日割引のメニューは一部の電力会社しか提供していないので、事前に確認が必要だ。

図3 休日割引を含めて単価が変動する例。出典:中部電力

電力会社と新電力を競わせる

 九州電力のように5種類のメニューを用意しているケースもある(図4)。これだけのパターンがあれば、最適なメニューが見つかる可能性は大きくなる。ぜひ試算してみる価値があるだろう。

図4 企業向けの標準メニュー(最上段)とオプションメニュー。出典:九州電力

 契約メニューを見直す方法は、ほかにもある。企業向けの高圧や特別高圧であれば、電気料金が自由化されている。電力会社は顧客ごとに料金を変えることが認められているので、交渉によって単価を下げてもらうことも不可能ではない。

 その場合には、電力会社とは別に「新電力」にも見積もりを依頼するのが望ましい。最近になって新電力に契約を切り替える企業や自治体が増えてきた。電気料金が確実に下がり、実際に1割以上も安くなった例がある。

 電気料金を抑えるためには、電力会社に任せきりにしないことが大切だ。このところビルの冷暖房に電気ではなくてガスを使う事例も増えてきた。太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入を含めて、電力会社に代わる供給源を活用することは、電気料金を安くする有効な手段になる。

連載第5回:「代替エネルギーを導入」

*この記事を含めて連載5回分をまとめた電子ブックレットのダウンロードへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.