「電欠」した電気自動車を助けるのは誰? 答えはリーフ電気自動車(1/2 ページ)

マイダス・ラボはCHAdeMO方式で2台の電気自動車を接続する製品「ORCA Inceptive」を発売する。日産自動車の「リーフ」を走る急速充電器に変えてしまう製品だ。

» 2013年10月01日 11時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

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 電気自動車(EV)の普及を促進するためには、充電インフラが欠かせない。だが、それだけでは不十分だと指摘するのが、EV支援事業を進めるマイダス・ラボだ。

 なぜ不十分なのか。走行中にEVの電池が空になり、いわゆる「電欠」状態になったとしよう。どうすればよいのか。現状ではサービス事業者の車を呼び、充電器のある場所までけん引する必要がある。これでは安心してEVで遠出ができないのではないか、というのが同社の主張だ。

図1 EV(左)を使って充電する「EV to EV concept」。出典:マイダス・ラボ

 同社はEVが内蔵する電池を使って、電欠したEVの電池に充電するソリューション「EV to EV concept」(図1)に従った製品「ORCA Inceptive」を2013年11月に発売する。イタリアAndromeda Powerの販売代理店となり、日本仕様の製品を扱う*1)。当初は日産自動車の「リーフ」に搭載するタイプだけを扱うが、今後は他のEVにも搭載できるようにする見込みだ。

*1) 例えば米国仕様の製品には系統電力(三相200V)をORCA Inceptiveに接続し、そこから電欠したEVを充電することができる。しかし、「国内ではこのようなインフラがない」(マイダス・ラボ)ことから、日本仕様では省略する予定だ。

リーフの改造は不要

 ORCA Inceptiveは、箱形の筐体と2本のケーブルからなり、リーフのトランクに搭載して使う(図2)。システム全体として最大50kWを扱う急速充電器として動作する。

 ORCA Inceptiveの本体の寸法は87cm×33cm×55cm、重量は81kg。リーフ本体の改造は不要で、トランクに取り付ける固定用のステーが付属する。

図2 ORCA Inceptiveを搭載した日産自動車のリーフ。出典:マイダス・ラボ

 利用時には救助側のリーフの充電コネクタに1本のケーブルを接続し、もう1本のケーブルを電欠側のEVに接続する。それぞれのケーブルの長さは9mあり、CHAdeMO仕様のコネクタに接続できる(図3)。

図3 ケーブル長が9mあるため、充電時の車両の配置に自由度がある。出典:マイダス・ラボ

 タブレット機器からWi-Fi経由で操作することで充電を制御する。「発売当初はWindows 8を搭載したタブレットに専用アプリケーションをインストールして使う形にする。その後、Android機器にも対応したい」(同社)。

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